水分計でのプラスチック樹脂水分率測定
水分計でのプラスチック樹脂水分率測定
プラスチック成形品の材料となるペレット状樹脂の含有水分率は高くなるほど,成形の際,気泡・クラック・変形・色ムラ等,品質を左右する場合があります。 よって事前に,その水分率を測定して把握・管理することが成形品の品質向上につながります。
水分率を測定する方法として,JISなどで決められている公定試験法(乾燥減量法)・カールフィッシャー法などがありますが,今回は島津水分計MOC63uにて,簡単に測定する方法をご紹介いたします。測定モードは「TIME」を選択し,30分間加熱を行いました。
■プラスチック樹脂の水分率測定
Moisture content measurement of plastic
●水分計を用いた樹脂ペレットの水分率測定

Fig.1 MOC63uに樹脂ペレットを載せ,乾燥修了後の状態
Plastic Pellet to set on MOC63u
(1)TIMEモード
水分計では試料の状態や乾燥時間短縮などのため乾燥条件を変更することが可能です。MOC63uでは乾燥温度を50℃~200℃まで1℃毎に設定できるほか,乾燥を停止するモードを4種類から選択することができます。ここでは乾燥を開始してから一定時間経過後,乾燥を停止する「TIMEモード」で測定し,繰り返し性の良いデータを得ることができました。
【乾燥条件】
乾燥温度: 105~180℃
乾燥停止条件: 30分
試料量: 10g
【結果】
水分率: 下表1(Table1) 結果一覧表のとおり
サンプル | 測定条件(TIMEモード) | 乾燥直後 | CV値 |
PET(S社) | 180℃ 30分 | 0.23% | 0.020% |
PET(T社) | 180℃ 30分 | 0.28% | 0.020% |
PBT(S社) | 120℃ 30分 | 0.21% | 0.027% |
ABS(アクリル樹脂) | 140℃ 30分 | 0.47% | 0.032% |
酢酸ビニル | 105℃ 30分 | 0.25% | 0.040% |
Table.1 TIMEモードでプラスティック樹脂の水分率を測定した結果一覧表
Moisture Content Table of plastic on TIME mode
●全体の考察
- 水分計MOC63uにおける水分率測定では,測定時間が短く,繰り返し性(CV値)のよいデータを取ることができました。
- 放冷の工程がないため作業が簡単です。誤って吸水させてしまうこともありません。

Fig.2 TIMEモードで樹脂ペレットの水分率を測定した乾燥曲線
(縦軸:水分率 横軸:時間)
Moisture Graph of plastic on TIME mode
(Spindle:Moisture Axis : Time)
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