グライコミクス

グライコミクスとは、糖を総合的に研究する学問分野で、主に質量分析法や糖鎖アレイが用いられます。ヒトに存在する単糖の種類は9種類に過ぎないですが、糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカンなどの多様な複合糖質は老化、疾患などの生命現象において重要な役割を担っています。

単糖・オリゴ糖

単糖・オリゴ糖

 

糖質は単糖、オリゴ糖(二糖、三糖など)、多糖に分類されます。単糖とはそれ以上加水分解されない糖類でグルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボースなどがあります。オリゴ糖は単糖が2個から10個程度結びついたもので分子量300 - 3000程度の糖類です。単糖は水酸基を複数保有しており、三つの単糖の結合方法でも119,376通りが存在するといわれています。体内に存在する糖鎖の多様性を解明していくことは生命科学の理解と発展に非常に重要です。

N型糖鎖

N型糖鎖

 

N型糖鎖とはアスパラギン残基(N)に付加される糖鎖でタンパク質翻訳語修飾のひとつです。N型糖鎖においてアスパラギンに結合する糖の種類はN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)のみですが、タンパク質の構造や機能、細胞内外の局在など生理活性に重要な役割を果たすとされています。プロファイリング、グリコシル化部位占拠分析、グリカン糖鎖解析などが主な解析方法になります。

O型糖鎖

O型糖鎖

 

O型糖鎖もN型糖鎖と同じくタンパク質に結合している糖鎖です。O型糖鎖はスレオニンやセリン残差に糖鎖が結合したもので、糖鎖にはN-アセチルグルコサミン(GlcNAc) 、N-アセチルガラクトサミン (GalNAc)、フコース (Fuc)、マンノース (Man)、キシロース (Xyl) など様々な種類が存在します。N型糖鎖と同様にプロファイリング、グリコシル化部位占拠分析、グリカン糖鎖解析などが主な解析方法になります。

糖アミノ酸、糖ペプチド(機能性糖鎖)

糖アミノ酸、糖ペプチド(機能性糖鎖)

 

糖ペプチドとは数個から数十個のアミノ酸(ペプチド)とアミノ酸に結合した糖鎖から構成される物質です。ペプチドホルモンや神経ペプチドのような内在性の生理活性ペプチドのなかには糖鎖を修飾しているものがあり、ヒトの健康や疾患で重要な役割を果たしています。ペプチドのグリカン組成やグリコシル化サイトの解明などが主な分析目的になります。