CFRPの高速破壊観察/DICによる超高速ひずみ分布可視化システム

CFRPの高速破壊観察
DICによる超高速ひずみ分布可視化システム  ~CFRPの高速引張試験とDIC解析~

■はじめに

近年、製品開発サイクルの短縮や試作コストの削減、部材の強度試験コスト低減のために、CAE解析(有限要素法)などを利用した構造体の損傷解析が製品設計に利用されています。今後は解析技術の浸透とともに、損傷解析の精度向上を目的として、実試験と解析結果との相関性について評価をおこなう必要が高まり、部材の破壊挙動や面内ひずみ分布の可視化といった、従来技術では計測が困難であった事象を評価するためのソリューション技術が強く求められるようになると考えられます。ここでは、撮影速度と解像度を満たすHPV-Xの登場により高速引張試験におけるDIC解析が可能になりましたのでご紹介します。

  関連資料“CFRPの高速破壊観察(高速引張試験によるCFRP破断画像のDIC解析例のご紹介)”ダウンロードはこちら

■CFRPについて

炭素繊維を使用したCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)などの繊維強化複合材料は、その卓越した強度と軽さを特長として,今や航空機材料として多用され、今後は軽量化を目的として自動車をはじめとしたあらゆる製品へ適用拡大されると考えられています。CFRPは損傷箇所を起点として破壊が進行し、最大試験力に達すると高速脆性破壊を示すことがわかっており、この破壊プロセスの詳細を明らかにすることは損傷解析モデルを構築する上で非常に重要です。

■試験例

高速引張試験(試験速度10m/s)

高速引張試験(試験速度10m/s)
高速度ビデオカメラ HyperVision HPV-X

高速破壊観察(撮影速度50万コマ/秒)

破壊プロセスを観察可能。円孔近傍に亀裂が生じているのがわかります。
さらにDIC解析を行うことで,破壊以前のひずみの分布がわかります。

DIC解析

サンプル観察面のひずみを二次元マッピング可能

サンプル観察面のひずみを二次元マッピング可能です。

■システム概要

高速引張試験システム

1MHzの試験力データをサンプリング
最大1 MHzで12,000点のデータを保存

確実な破断検出が可能
破断検出をロードアンプ(またはひずみゲージを利用)で行い,
高速度ビデオカメラにトリガー信号を伝送

高速度撮影により材料の破壊を明確に観察
高速度ビデオカメラHyperVisionとの同期が可能
高時間分解領域における観察により材料破壊プロセスの解明が可能

DIC解析システム

変位計測・面内ひずみ計測
高速度ビデオカメラの撮影データをもとに変位の計測やひずみの二次元マッピングが可能

非接触式
サンプルに影響をあたえずに計測可能

DIC: Digital Image Correlation (デジタル画像相関法)
物体表面のランダムパターンを物体変形前後で比較し、パターンの移動量を調べる手法。高温下における部材、大型構造物および顕微鏡下における微小部材のひずみ解析などにも利用可能

高速パンクチャー衝撃試験機

安全・信頼性向上の要求が高まる中、材料・部品の動的強度(対衝撃特性)の評価がますます重要となってきています。本機は最大時速72km/h(20m/sec)の速度により、最大試験力・エネルギー・変位等のデータが得られます。
打ち抜きタイプ(HITS-P10)と引張負荷タイプ(HITS-T10)があります。

高速度ビデオカメラ

当社独自の高速CMOSイメージセンサ「FTCMOS」を搭載し、最高1,000万コマ/秒の超高速連続撮影を実現するとともに、記憶容量を増加させ、撮影枚数を最大256枚にアップしました。
さらに、500万コマ/秒までは最高解像度400×250ピクセルの動画撮影が行えるので、対象物の詳細な解析が可能になりました。