茶葉の水分率測定
茶葉の水分率測定
水分計MOC63uアプリケーションデータ
お茶の製造には様々な工程があります。これまでは経験から来る指先での感触や色・匂いなどから出来栄えを判断していたものが,近年では水分率を測定することにより,正確かつ簡便に行えることが分かってきました。特に中揉,精揉後と乾燥後の茶葉の水分率測定が効果を発揮します。
【荒茶製造工程】
当社では茶葉の水分率を測定する方法としてこれまで用いられてきました公定試験法と近赤外線法に加えて乾燥重量式の水分計の測定結果の比較を行いました。
●公定試験法
加熱乾燥法とも呼ばれ,所定の乾燥温度を105℃として恒温槽内に16時間放置させて乾燥させ,精密電子天秤を用いて測定します。そのため一つの試料の水分率測定に長い時間を要し,短時間に水分率を求めることが困難でした。
●近赤外分光法
近赤外線を試料に照射して,その反射光を分析してリアルタイムで水分率を求める方法です。基準となる検量線が必要となり,機器自体も高額とあって,なかなか手軽に利用できるものではありません。
●乾燥重量法の水分計による測定
質量計(電子天びん)に乾燥室を備えた構造をしており,乾燥して刻々と減少していく質量から水分率をモニターできる機能を有しております。今回,茶葉を島津水分計MOC63uで測定し,公定試験法と互換性のあるデータを簡単にとることができました。
◇それぞれの測定法による茶葉の測定結果は以下の通りです。
●公定試験法を用いた茶葉の水分率測定
茶葉の水分率の公定試験法として常圧加熱乾燥法があります。この方法では乾燥温度,乾燥時間,前処理方法など多くの測定条件によってそれぞれ水分率が求められています。今回,そのひとつの方法である「105℃・16時間乾燥法」を用いて測定したのが右記の結果です。
【乾燥条件】
乾燥温度 : 105℃
乾燥停止条件 : 16時間
試料量 : 10g(容器袋:ハイゼックス)
【結果】
水分率 : 5.3~6.1%(茶葉10種類)
●近赤外線分析計を用いた茶葉の水分率測定
もう一つの茶葉の水分率の測定方法として近赤外線法があります。この方法では即時に水分率が求められますが,茶葉の前処理(茶葉そのままの状態にするか,ミキサーにかけて粉末状にするか)で水分率の結果が変わってきます。上記公定試験法で測定した茶葉10種類を粉末状,および茶葉そのままで測定したのが右記の結果です。
【結果】
※茶葉サンプル
水分率 : 6.0~6.7%(茶葉10種類)
※粉末状サンプル
水分率 : 6.1~6.5%(茶葉10種類)
●水分計を用いた茶葉の水分率測定(1)
TIMEモード(乾燥後の茶葉に最適)
水分計では試料の状態や乾燥時間短縮などの目的にあわせ,乾燥条件をいろいろ変更することができます。MOC63uでは乾燥温度を50℃~200℃まで1℃毎に設定できるほか,乾燥を停止するモードを4種類から選択することができます。ここでは乾燥を開始してから一定時間経過後,乾燥を停止する「TIMEモード」で測定しました。
【乾燥条件】
乾燥温度 : 135℃
乾燥停止条件 : 5分
試料量 : 3g
【結果】
水分率 : 5.9~6.4%(茶葉10種類)
●水分計を用いた茶葉の水分率測定(2)
AUTOモード(中揉,精揉に最適)
乾燥させることにより試料の質量が時間とともに減少していきますが,このモードでは30秒間の水分率変化量が自動停止条件として設定した値(0.01%~0.1%)以下になれば測定を自動的に停止します。
【乾燥条件】
乾燥温度 : 135℃
乾燥停止条件 : ⊿M(30秒間の水分率変化量)=0.05%
試料量 : 3g
【結果】
水分率 : 6.3~7.0%(茶葉10種類)
●各種方法で茶葉の水分率を求めた結果のまとめ
それぞれの測定法による測定結果を以下にまとめました。当社水分計MOC63uは安価で手軽に扱える上に測定時間を短く,これまでの工程試験法や近赤外線分析計と比較して十分に互換性の採れる結果を得ることができました。
測定方法 | 水分率 | 価格(\) | 測定時間 |
公定試験法 | 5.3~6.1% | 20万以上 (天びん&恒温槽) |
16時間 |
近赤外線法 | 6.0~6.7% | 400万程度 | 即時 |
水分計 MOC63u | TIME 5.9~6.4% AUTO 6.3~7.0% |
19万 | TIME 3~5 分 AUTO 13~15 分 |
Fig.5 茶葉の測定方法の違いによる比較表
水分計 MOC63u
MOC63uは正確な水分率測定を簡単に手早く行うことが可能な電子式水分計です。
試料皿にサンプルを載せ,カバーを閉めるだけで測定を開始。あらゆるサンプルに対応し,ユーザの作業効率アップに貢献します。