食品及び飼料中のダイオキシン類の分析
食品・飼料中のPOPs(Persistent Organic Pollutants:残留性有機汚染物質)は様々な手法により分析されます。特に、ダイオキシン類はPOPsの中でも毒性が高いため、低濃度まで定量分析する必要があります。これまで、ダイオキシン類の分析には高い選択性及び感度を有する二重収束型GC-MS(GC-HRMS)が使用されてきました。しかし、近年、トリプル四重極型GC-MS(GC-MS/MS)の性能が著しく向上したため、ダイオキシン分析の代替手法として検討されています。しかしながら毒性の高いダイオキシン類は低濃度での分析が必要となるため、装置の感度が重要になります。BEIS (Boost efficiency ion source)は電子イオン化(EI)において、電子線の焦点を最適化することで、イオン化効率を最大限まで高めたイオン源です。ダイオキシンの分析において、信頼性の高い分析が可能となります。
ダイオキシン標準溶液分析例
GC-MS/MSによる代表的なダイオキシンのMRMクロマトグラムを示しました。低濃度においても高感度に測定が可能です。

代表的なダイオキシン標準試料のMRMクロマトグラム(濃度25 fg/µL)
GC-MS/MSとGC-HRMSとの比較
GC-MS/MSとGC-HRMSで食品・飼料中のダイオキシンを分析し、定量値を比較しました。低濃度の食品・飼料においても良好な相関が得られました。 各種食品・飼料中ダイオキシン分析において、GC-MS/MSとGC-HRMSの定量精度に有意な差は認められませんでした。

GC-MS/MSとGC-HRMSの定量値の比較(左:線形目盛、右:対数目盛)