トナーは,十分な低温定着性を有し,かつ耐ブロッキング性に優れ,現像機内でのストレスにもつぶれることなく,地汚れのない鮮明な画像が形成されるものが望まれています。従って,低温定着性を向上させるためには,より低荷重で変形し,カプセルがつぶれることが望まれますが,逆に現像機内でのストレスに耐えるためには,ある程度の荷重でもつぶれなくする必要があります。
この評価のため微小圧縮試験機で圧縮試験を行い,得られた「圧縮強度」および「荷重—圧縮変位線図」から評価されます。
ここでは,その試験を行った事例について紹介します。

サンプル:トナーNo.1、No.2、No.3(平均粒径:約6.5μm)
試験した結果のまとめ(平均値)を表1に示します。
No.3>No.2>No.1の順に強度が強いことが分かります。

また、各試料の「荷重-圧縮変位図」の重ね書きを図2に示します。

表1 圧縮試験結果

トナーおよび試験後の圧縮したトナーの写真

図2 荷重-圧縮変位線図

 

荷重-圧縮変位線図において,A領域の立ち上がりの部分は,トナー粒子が荷重の負荷とともに,ほぼ直線的に圧縮されていき,B領域では変曲点が現れ,圧縮変位が大きく変化することを示しています。これは負荷荷重に耐えきれず,急激に大きく変形したことを意味しています。最後にC領域でもう一度変曲点を迎え負荷荷重を大きくしても変位は少なくなり,荷重により完全につぶれた状態を示しています。
 


 

微小圧縮試験機

島津微小圧縮試験機MCT-Wシリーズは,ダイヤモンド圧盤で試料に負荷を与え,試験力と圧縮変位の関係を,リアルタイムに測定する試験機です。各種微小部品,紛体加工品での微小粒子,あるいは新素材関連の微細繊維の1粒1粒の強度評価が可能です。 特別システムとして,圧縮中の観察,圧縮時の抵抗測定,高温状態(max250℃)での測定などのシステムを用意しています。