現在,スマートフォンの販売数は携帯電話販売の大きな部分を占めるまで増加しています。スマートフォンは,大きな画面とタッチパネルによる操作が大きな特長です。
一方,電話としての機能を使用する際には,耳に近づけたことを自動的に近接センサが感知し,タッチパネルの動作やバックライト照明を一時中断することにより,誤動作や電池の消耗を防いでいます。この近接センサの動作に大きく関わるのがセンサ窓の透過率です。
今回,紫外可視分光光度計と専用の試料ホルダを用いてスマートフォンの近接センサ窓の測定を行いました。

Fig. 1 近接センサの概略

Fig. 1 近接センサの概略

近接センサ窓の測定には,紫外可視分光光度計UV-1800を用いました。試料室内に試料ホルダを設置した後,近接センサ窓をホルダに固定して測定を行いました。ベースライン補正は,何もない状態(空気)で行いました。試料が大きい場合には別途,専用の試料室フタ(特別注文品)をご用意ください。試料室に外光が入らないようにしていただければ,暗幕などによる遮光でも測定可能です。

スマートフォン2 種類の近接センサ窓の測定結果をFig.2 に示します。測定結果からどちらの近接センサ窓においても近赤外領域(波長780 nm 以上)では透過率の高いことが確認できます。一方,それより短波長側の可視光領域では透過率が低く抑えられていることがわかります。この透過特性によりセンサとしての機能を十分に発揮しつつ内部が見えにくくなっています。

測定条件

測定波長範囲 380 nm ~ 1000 nm
スキャン速度 中速
サンプリングピッチ 0.5 nm
測定値 透過率
スリット幅 1.0 nm(固定)
Fig. 2 近接センサ窓の透過率

Fig. 2 近接センサ窓の透過率

詳細はApplication News No. A453「スマートフォン近接センサ窓の透過率測定」をご覧ください。
 

紫外・可視分光光度計

UV-1900は高機能,省スペース設計のダブルビーム紫外可視分光光度計です。分解1nmで,コンパクト化,操作性の向上を実現しました。