食品や医薬品の包装用フィルムとして、多くの場合多層フィルムが使用されています。多層フィルムの各層の成分を定性するのに最も一般的な方法は、フィルムの断面をスライスし、得られた試料片を赤外顕微鏡を用いて透過法で測定する方法です。この方法によれば膜厚が約10 μm 以上あれば、その層のスペクトルを測定することができます。

ポテトチップスの包装材に使用されている多層フィルムの分析事例です。フィルムの切片はミクロトームで切り出し、透過測定を行いました。また、測長機能を用いて各層の厚みを計測しました。
ポテトチップスが入っている内側から、各層は27 μmのポリプロピレン(PP)、9 μmのPP+ポリエチレン(PE)、11 μmのポリエチレンテレフタレート(PET)、42 μmのPEであることがわかりました。

多層フィルム断面の写真と測長結果
(画面左側が内側)

多層フィルム各層の透過スペクトルとケミカルイメージ
(上段から1、2、3、4層目)

 
 

赤外顕微鏡

自動不良解析システムは,10 ~100 μm 程度の微小試料の測定に最適です。ダイヤモンドセルを用いれば簡単な前処理で,透過法による良好な赤外スペクトルを得ることができます。