超音波光探傷装置MIVの特長と測定事例紹介

Q : 超音波探傷の超音波の周波数はいくらですか。

A : 20kHz~400kHzで,1kHzピッチで設定できます。

Q : 「剥離」と「接合部」の分離は正確にできるのでしょうか。

A : 剥離と推察される音場変状が,どの深さ位置で発生しているかを正確に識別することはできません。

Q : 接着層の欠陥を検出したいです。膜厚ばらつきがあっても測れますか。被着材の制約はありますか。平面でなく曲面の接着部でも測定は出来ますか。検出限界はどのくらいのサイズでしょうか。

A : 膜厚のバラツキがあっても検査は可能です。が,3mmを超えるような分厚いもの同士の接着品では,超音波が接着層まで届かないため検査できません。検出限界の目安はΦ約1mmです。オプションの光学ズームセットを使用すると,Φ約0.5mmです。

Q : シェアログラフィも表層付近の欠陥を検出できるかと思いますが,MIVは通常のシェアログラフィと比較してどのような長所があるのでしょうか。

A : MIVではシェアログラフィにストロボスコープ機能を追加しています。こうすることで,超音波の伝搬状態を動画表示できるようになり,より欠陥の存在を識別しやすくなりました。

Q : アルミvsアルミfsswでは接合部と圧着部が断面観察でも区別が難しいですが,MIVでは明確に区分できるものでしょうか。

A : ミリレベルの広さの剥離であれば検知できる可能性は高いです。接合できていないまま密着している状態の場合,超音波振動を与えると,その部分で超音波伝搬状況が変化するのでMIVでは検知できます。

Q : 接着層の検出についてです。すき間はないが強度は出ないウィークボンドと呼ばれている部位の検出は可能でしょうか。

A : 接着できていないまま密着している状態であれば,超音波振動によりその部分で超音波伝搬状況が変化するのでMIVでは検知できます。

Q : どこまで小さい空隙サイズを検出できますか。

A : 検知できる最小サイズの目安はΦ約1mm,オプションの光学ズームセットの使用で,Φ約0.5mmです。

Q : 音場像の動画で欠陥表示部分が時間的に変化していますが,これは深さ方向の変化を示しているのでしょうか?オーバレイ像の色の違いはこの深さを示したものでしょうか。

A : この変化は超音波の振幅の強さを示しています。振幅が強い所では,音場像上では濃淡差が大きい画像,オーバーレイ上では赤が多い画像になります。

Q : MIVで見つけた局所の空量や亀裂部分に対し。他の分析アプローチをしたい場合に,対象物の欠陥場所に何らかの印をつけたりする機能ってあったりしますか。ステージから取り外したときにどの場所か欠陥場所か。わからなくなるのを避けたいシーンがあると思っています。

A : MIVには結果画像上に〇や矢印などのまーくを付ける機能があります。マークした後にライブ画像に切り替えてもマークは残りますので,ライブ画像を見ながら,サンプル上に目印を手書きするような使い方はできます。

Q : 対象物の表面状態の制約はあるのでしょうか。(色,粗さ,光沢・反射,材質)

A : 表面が黒い場合,光が吸収されるため鮮明な画像が得られない場合があります。光沢が強い場合は,鏡面反射によるノイズの大きい画像になります。が,表面に水性の白色スプレーを塗布などできれば,表面の色や光沢を気にせず検査できます。表面に鋭利な凹凸がある場合は,その先端などで超音波が乱れるためノイズ要因となる可能性があります。材質は硬いものであれば特に制約はないですが,軟らかいゴムやスポンジのようなものだけで構成されたものは検査できません。金属にゴムやスポンジのようなものを接着なりされたサンプルであれば検査できます。

Q : 材質にもよるのかもしれませんが,どの深さに欠陥(クラック等)があるか?という事はわかるのでしょうか。

A : MIVでは深さを計測することはできません。が,表面から数ミリ内の検査ですので,検知した欠陥は数ミリ内に存在するとは言えます。

Q : 平板形状でないアルミブロックの場合,振動子は測定面上に配置する必要があるのでしょうか。

A : 振動子を測定面上に設置する必要はありません。側面などに振動子を設置しやすい比較的大きめの面があれば,そこにバンドなどで固定して検査します。

Q : MIV-Xで剥離欠陥の面積を定量的に測定できますでしょうか。

A : 面積を計測する機能はありませんが,寸法や直径を表示する機能はありますので,その数値から手計算で概算するという使い方はできます。

Q : 通常の超音波顕微鏡に対する優位点を教えて下さい。

A : 超音波顕微鏡レベルの小さい分解能が必要とされる所への展開は想定しておりません。ミリレベルの欠陥を動画表示することで,静止画像よりも識別しやすいことがMIV-Xの特長となります。

Q : 検出深さはどのように調整できますか?検出深さにより検出できる欠陥のサイズは変わりますか。

A : 超音波の周波数と振幅強度で調整することになりますが,何mmの深さまで届いているかを定量的に示すことはできません。周波数を低くすれば,検出深さは深くなりますが,検知できる欠陥サイズも大きくなります。(小さい欠陥は波の谷間に入り,検知できない場合があります。)

Q : 密着強度の評価にも使えますか。

A : 実施例がまだないため断言はできませんが,強度がゼロの状態になってない限り,音場像に差は出ないのではないかと想像しています。

Q : ゴムのような柔らかい試料も測定可能でしょうか。

A : 超音波をすぐに吸収・減衰してしまうため,単体だけでは検査できません。金属板にゴムを接着したようなサンプルであれば,金属面側から剥離状態を検査するようなことは可能です。

Q : 曲面にも使用できますか。

A : 可能です。Rが小さい場合は,1度に全面を検査できないため,何回かに分けて検査することになります。

Q : 測定できるサンプルの最大サイズと最小サイズは決まっていますか。

A : 数値的な制限は明記していませんが,幅や長さが1mを超えてくるようなサンプルでは,十分な超音波の干渉が生じないため,鮮明な画像は得られなくなります。逆に,検知分解能(Φ1mm)より小さいサンプルでは検査できません。

Q : 振動子に当たる面に油等密接ための物を塗る必要がないでしょうか。

A : 一般的にカプラントと呼ばれる接触媒質を塗る(貼る)必要があります。超音波探傷と同じです。

Q : 金属溶接のTIG溶接の接合不良等は観察可能ですか。

A : 肉厚の薄い所にあるオーバーラップのような欠陥は観察可能です。

Q : MIVは動画で見えることが長所というのはどういうことでしょうか。動画にで見えた方が,静止画よりも欠陥の視認性が上がるということでしょうか。

A : ご記載の通り,視認性が上がるということです。超音波の各周期毎の画像を取得して動画表示にしていますが,ある周期では欠陥がみえてない場合もあります。

Q : 何処までの深さを測定出来るのでしょうか。

A : 目安としては,2-3mm程度です。材質や欠陥の大きさによっては,5mm程度でも検知できる場合もあります。

Q : 評価できる試験片の形状に制限はありますか。パイプ形状のものの内部欠陥などは検査できますか。

A : パイプ形状の外周面からの検査は可能ですが,カメラが入らない細いパイプを内面から検査することはできません。パイプ端面側の内面であれば,カメラで斜めから観察して映る部分は検査できます。

Q : ダイカスト製品との接合した場合は鋳巣と接合欠陥の識別は可能でしょうか。減衰係数や伝播速度が異なる材料の接合でも欠陥の検出は可能でしょうか。

A : 超音波の異常が巣によるものか接合欠陥によるかの識別は困難です。特性の異なる材料の接合品での検査は可能です。

Q : 金属板と厚さ1μmの樹脂コーティングとの剥離は検出可能でしょうか。

A : 問題なく検出できると考えます。サンプルご用意いただければデモ可能です。

Q : MIV-Xと超音波顕微鏡で同じサンプルを観察した場合,見え方にどのような違いがありますか。

A : MIV-Xでは超音波の伝搬状況が動画表示されます。超音波顕微鏡までの分解能はないため,ミクロンレベルの欠陥は検知できません。

Q : 途中参加で聞き逃したかもしれませんが,FSSW接合部のようなAl側が凹んでいる場合は,平坦なFe側裏面から超音波を照射させる必要があるという理解でしょうか。

A : 今回ご紹介したデータ画像はAl側から観察しています。超音波で揺れやすい材料側(AlとFeでは柔らかくて揺れやすいAl側)から観察します。

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