異種接合におけるX線CTを用いた非破壊形状観察の有効性紹介

Q : 御社のX線CT装置で定性的な可視化画像の取得だけでなく,クラックの長さなどを定量的に計測できるのでしょうか。今回の空間分解能などを教えていただけましたら幸いです。

A : 断面画像は三次元表示画像を基に,クラックの長さなどを計測できます。今回使用した装置の透視画像分解能は4µmです。

Q : X線CTでは,Longで観察された金属間化合物層のクラックを検出することはむずかしいのでしょうか。

A : クラックが検出できるかどうかは,試料の材質・大きさ・形状と,クラックの大きさによって変わります。本試料の金属間化合物層のクラック検出は残念ながら難しいです。

Q : 水中にあるサンプルも測定可能でしょうか。

A : 水中によるサンプルも測定可能ですが,水中でサンプルが動いてしまうと試料の輪郭がぼけてしまいます。また,空気中の撮影に比べると水によるX線の吸収が生じるため,サンプルと周囲のコントラストがつきづらく,白黒がぼやけやすいです。

Q : CFRP製パネルについてX線CTでボイド等を確認することはできますか。

A : 可能です。今回ご紹介したもの以外の撮影例を弊社HPでご紹介していますので,よろしければご参照ください。
https://www.an.shimadzu.co.jp/products/non-destructive-testing/microfocus-x-ray-ct-system/inspexio-smx-225ct-fpd-hr-plus/index.html

Q : 今回,ご紹介いただいているX線CT装置で接着体(鋼板ー接着剤ーアルミ板)での接着剤の状態の観察は可能でしょうか。また,このX線CT装置の空間分解能を教えてください。

A : 接着剤の密度や厚さによって観察の可否が変わり,密度や厚さが大きい方が観察できる可能性は高くなります。なお,CFRPやアルミの接着など,接着する対象物が低密度の方が接着剤は見えやすくなります。

Q : X線装置を取り扱うには,何か特別な資格が必要でしょうか。また,装置導入にあたり,特別な設備が別途必要でしょうか。

A : 今回ご紹介した装置のような,防護箱外のX線線量が規定値以下の装置取扱には特別な資格の取得,特別な設備の導入は必要ございません。ただし,装置の設置前に所定機関に届出が必要です。

Q : 観察事例1の画像(三次元像)を測定するのにかかった時間をご教示いただけますか。

A : ご紹介した画像取得にはおよそ30分時間を掛けています。
ただし,撮影時間は数十秒程度に設定することも可能で,どれだけ時間をかけるかは観察の目的や求める画像の品質によって変更できます。

Q : 金属の棒状試料はどのように摩擦撹拌したのでしょうか。

A : 2種の金属板の端面を突き合わせて,アルミニウム合金側面からツールを当てて摩擦攪拌で接合した後棒形状にカットしています。なお,接合時はツールの端面が僅かに炭素鋼板に当たるように位置を設定しています。

Q : 観察事例2で,鋳鉄中の炭素分布,形状を観察した例はございますか。よろしくお願いいたします。

A : 鋳鉄中の炭素分布・形状を観察した事例はございません。対象物の内部に十分な密度差があれば観察できる可能性はありますが,厳しい印象です。

Q : 試料(2)の接合強度は,空隙は接合熱により発生したものでしょうか。

A : 残念ながら接合強度は測定しておりません。空隙は接合時に発生したと想定しておりますが,断言はできず原因も明らかではございません。

Q : 御社のX線CT装置では体積解析は付属のソフトで可能ですか。

A : 今回の体積解析データは,オプションソフトウェアであるVGSTUDIOMAX+欠陥・介在物解析モジュールを使用して取得しました。

Q : アルミとCFRPの接合状態を確認することは可能でしょうか。

A : 可能と思われます。各試料の密度が高くなく,試料同士の密度差が大きくない方が,境界付近の観察には有利です。

Q : Φ10の炭素鋼ですと,どれだけのサイズの空隙が検出可能でしょうか。

A : 仮にΦ10mmの視野で全体を撮影し,1024×1024の断面画像を作成する場合であれば,30μm前後の空隙検出が期待できます。

Q : X線CTで鉄同士の抵抗スポット溶接のナゲットを観察することは可能でしょうか。

A : ナゲットに周囲との密度差があったり,ナゲットと周辺部の間に空隙などあれば,可視化できる可能性はあります。ただし,鉄のように高密度の素材はX線を通しづらいため,厚さが厚くなるほど観察しづらくなります。

Q : セラミックス筐体の中身を観察することは可能でしょうか。セラミックスは透過しますでしょうか。

A : セラミックスもX線を透過するため,非常に大きなものでなければ筐体の観察可能かと存じます。

Q : 円筒形をした金属の筒に封入された樹脂の密度のゆらぎや空孔などの評価は可能でしょうか。

A : 空孔の評価は可能ですが,金属の筒の材質が重く厚い場合には,X線が十分に透過せず,内部の樹脂・空隙が見えづらい場合がございます。また,樹脂内の微小な密度のゆらぎは可視化が難しいと思われます。

Q : 実部品のX検査では,検査できる部品の最大寸法,重量の制限はありますでしょうか。

A : 今回使用した装置では,Φ400mm×H300mm,12kgの対象物まで搭載可能です。

Q : X線CTではどの程度のサイズの試料を透過して観察できますか。

A : 装置の出力や,対象物の材質によって,透過可能なサイズは変わります。今回の装置であれば,アルミニウム100mは透過可能です。

Q : 鉄鋼板の厚さはどのくらいまで測定可能でしょうか。

A : 今回の装置で,20mm程度は透過可能です。

Q : CT画像の白黒反転機能はCT装置にはありますか。

A : オプションソフトウェアVGSTUDIOの使用により,CT画像の白黒を反転されることが可能です。

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