3次元DIC解析システムを用いた動的引張試験
~ 疲労破壊直前のポリプロピレンのひずみ分布観察とひずみ測定 ~
近年,部材の弾性域から塑性域における静的・動的な機械的性質を正確に評価可能な試験手法としてDIC:
Digital Image Correlation 解析が注目されています。特に,動的な試験力・ひずみを高速で部材に付与する疲労試験において,接触式のセンサーを用いる従来のひずみ計測手法では,その計測部位に応力が集中してしまうことで適切な疲労寿命の予測が困難であるケースがありました。
3次元DIC解析システムを疲労・耐久試験機に組み込むことで,部材の疲労特性を多面的に評価できるようになりました。
動的(疲労)引張試験

油圧式疲労・耐久試験機
EHF-Uシリーズ

3次元デジタル画像相関システム設置風景
使用装置 | 油圧式疲労・耐久試験機 EHF-Uシリーズ |
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制御方法 | 応力制御 上引張応力20 MPa,下引張応力2 MPa |
試験速度 | 2 Hz |
ひずみ計測 | Q400 3次元 デジタル画像相関システム 35 mm単焦点レンズ Istra4D画像相関用制御・解析ソフトウェア (Dantec Dynamics K.K.) 撮影速度 10 fps ひずみゲージ KFG-2-120-D16-11L1M2S(共和電業) (試験片裏面に貼付) 動ひずみ計 DC-97A(東京測器研究所) |
試験片 | JIS K7161 1A号 ポリプロピレン |
疲労DIC解析例

主ひずみ-時間線図(仮想ひずみゲージ計測)

面内主ひずみ分布(ひずみ集中箇所の確認)
注:仮想ひずみゲージとはDIC 解析ソフトウェアに実装された機能で,サンプル観察面における任意に指定したポイントの変位計測が可能です。
- 疲労破壊過程における面内ひずみの詳細評価が可能。
- 疲労試験1周期の測定時間内で連続データ取得することによりヒステリシス中のひずみ分布評価が可能。
- ピーク to ピークデータ取得による疲労評価が可能。
静的引張試験

試験片およびつかみ具

応力-ひずみ線図比較
(ひずみゲージ,仮想ひずみゲージ比較)

面内主ひずみ分布
- ひずみゲージの測定限界を超える大ひずみ領域。
- 任意点における各種ひずみ計測,ひずみ分布の評価が可能。
本システムは静的引張試験においてもご活用いただくことが可能です。