複合材料の破壊メカニズムの解明に向けて
~CFRTPの破壊過程の観察~
加工性・量産性・リサイクル性に優れた炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材(CFRTP)は,金属などの従来材料に代わり汎用輸送機・特に量産車への適用が期待されています。しかし,CFRTPの静的強度や疲労強度などの様々な特性は,その変形過程で発生している内部の破壊メカニズムが十分に解明されていないため,安全性評価の議論が進んでいません。そこで,試験片に負荷を与えたままその負荷と試験片内部損傷を観察することが可能な,CFRTPの破壊メカニズム解明に役立つ複合システムを紹介いたします。
X線CT装置内で疲労試験
■ アルミ試験片の疲労試験と疲労き裂進展観察
疲労試験機(エアサーボ)に試験片を取り付けたままCT撮影することが可能です。
※CT撮影中は,試験は一時停止させます。
X線CT装置内で引張・圧縮試験
引張試験機
■ フェルトの引張試験結果
引張後のフェルトは,引張方向である0度の繊維配向が多いことが分かる。
X線CT装置内で3点曲げ試験+応力計測
■ CFRTPの3点曲げ試験と内部構造観察
ストロークと応力のグラフを取得しつつ,試験片内部の損傷の様子も観察していくことができます。
本研究は,経済産業省-NEDO 委託事業「革新的新構造材料等研究開発」の一環として行われたものです。
- X線CTと試験機の専門メーカが作り上げた複合装置。
- 従来難しかった,試験片にかかる応力の変化と内部損傷進展の過程を観察することが可能。