移動相の脱気

 
目次へ 戻る 次へ
LCtalk特集号「移動相の脱気」

3.流路中での気泡発生によるトラブル

3-4)検出器セル内での気泡発生・滞留によるベースラインノイズ

 カラム,あるいは検出器セル部が加温されている場合,セルを通過する液温は上昇しており,圧力も大気圧に近い状態であることから気泡が発生しやすくなっています。また,加温されていなくてもグラジエントの場合は気泡が発生することがあります。溶媒を混合すると飽和溶解度が低下することは2-3)で述べた通りです。例えば,高圧混合グラジエントの場合,混合後流路中で常時高圧下のため気泡発生が抑制されるのですが,セル内は大気圧に近く気泡発生が起こります。
 このような,セル内での気泡発生や滞留は,図15のようなスパイク状・ノコギリ状のノイズを引き起こしたり,ベースラインを振り切ったりします。この結果,ピークとノイズの区別ができなかったり,ベースライン位置が不明確になったりして,波形処理(面積計算)が正しく行われなくなります。
 なお,3-3),3-4)のケースとも,検出器がUV検出器や電気伝導検出器であれば,セル耐圧が高いため(12MPa,3MPa),検出器出口側に背圧をかけてカラム出口やセル内にかかる圧力を高め,気泡発生を防止できます。通常,背圧には0.3mm内径×2m長さのステンレスチューブを抵抗管として接続します。水,メタノールを1mL/minで送液するとそれぞれ約0.2,0.1MPa圧力が生じます。溶媒の種類により圧力が異なるのは次式に示すように溶媒粘性が効くためです。
〔圧力〕∝〔溶媒粘度〕〔流速〕〔チューブ長さ〕(但し,チューブ内径一定で層流のとき)
なお分取流量で使用の場合は,同じ抵抗管では圧力がかかり過ぎるため,チューブを短くするか,内径の大きなチューブ(例えば0.8mm内径)を使って下さい。一方,セミミクロLCなど流量が低い場合は(例えば0.1mL/min),同じ抵抗管では圧力がかかりにくくなるため,0.2mm内径×6m長さのチューブなど背圧のかかりやすいものに変える必要があります。

* 1MPa=10.2kgf/cm21kgf/cm2= 0.098MPa

図15 セル内での気泡発生・滞留によるベースラインノイズ

検出器の種類 耐圧 MPa,(kgfcm-2)
UV(VIS)検出器 ~12,(120)
電気伝導度検出器 ~3,(30)
蛍光検出器 ~0.5,(5)
示差屈折計検出器 ~0.4,(4)*
電気化学検出器 ~0**

*電気弁耐圧 セル耐圧は2MPaまで
**Ag/Agcl参照電極を用いるとき

 ただし,電気化学検出器の場合は,セル耐圧が低いために背圧をかけられません。このような場合は,あらかじめ移動相中の空気を脱気しておくことが必要です。
 以上,流路中の気泡発生によるトラブルを見直してきましたが,ポイントはやはり温度上昇・圧力降下・溶媒混合です。図16に流路と圧力・温度の関係の例を示しましたので,みなさんのシステムではどの部分で発生の可能性が高いかを考えてみて下さい。

図16 セル内での気泡発生・滞留によるベースラインノイズ

* 本ページはLCtalk特集号5(1991年)をhtml化して一部修正を加えたものです。
従って,最新の装置情報・技術情報とは一致していない所があります。

Top of This Page