1. トピックス

このテーマでは,オートサンプラの特徴,とりわけLCMSによる微量分析においてオートサンプラに求められる,
・全般的な特徴
・ハードウエア設計上の特徴
・キャリーオーバーの原因と対策
の3つのトピックスについて解説する。

こうした事項は,どのようなオートサンプラを選定すべきかにおいて考慮すべき点である。-

2. オートサンプラの性能

オートサンプラを選定するにあたり,一般に,その注入精密さ(Precision)と正確さ(Accuracy)に対して関心が向けられる。 精密さ(Precision)とは,同じサンプルを繰り返し分析したときの結果のバラツキを意味する。 市販されているオートサンプラは,通常,10μL注入時で0.5%以下の注入再現性(RSD)を有する。 分析によっては,より高精度な注入再現性が必要であり,このような場合,選定対象となるオートサンプラは限定される。
また,精密さ(Precision)は絶対検量線法による定量では重要であるが,内部標準法による定量ではそれほど重要ではない。 一方,意外に感じるかもしれないが,正確さ(Accuracy)は,精密さ(Precision)ほど重要なファクターではない。

正確さ(Accuracy)を考慮した場合,検量線の作成は,異なった濃度に希釈した複数の標準サンプルを用意し,これらを同一量注入しておこなうべきである。 検量線は,ひとつの標準サンプルから異なった注入量で分析することによって作成すべきではない。-

3. オートサンプラのフレキシビリティ

オートサンプラを選定するにあたり,分析対象物質によって検討すべき項目が異なってくる — 例えばバイアルビンを使用するのか,それともマイクロプレートを使用するのかなどである。 また,1台のMSに複数のLCシステムを接続して分析する手法もある。
さらに,サンプルは冷却する必要があるのか,あるいはフラクションコレクタのような機器もあわせて使用するのかについても検討する必要がある。

マイクロプレートを使用する場合,検討対象のオートサンプラが何枚のマイクロプレートを使用できるのかについて考慮すべきである。-
マイクロプレートは,96穴のタイプが標準であるが,384穴タイプも一般的になりつつある。 検討対象のオートサンプラでは,96穴だけでなく384穴のマイクロプレートも使用可能かどうかを考慮しておく。-