分取HPLCのはなし・・・ 目的別分取システム紹介
お客様の分取量や試料,目的に適した分取システムの選んでいただけるよう,各システムの特長をご紹介します。

カラムスケールと対応機種ラインアップ
大量分取システム

大量分取システム(20APタイプ)
大量分取システムは,LC-20AP送液ユニットを用いる分取システムです。 最大流量は150mL/minとパワフルであり内径20~50mmカラムでの自動連続分取に適しますが,一方で分析カラムサイズ(1mL/min)での分離条件検討/負荷量検討,分画液の純度検定まで行えます。<br> 試料注入は5機種,リサイクルバルブ3機種,フラクションコレクタ2機種,など多彩なオプションからシステム構築できます。
汎用セミ分取システム

セミ分取システム(20ARタイプ)
LC-20ARを用いると分析カラムから内径20mm程度のセミ分取カラムまで,LC-20ATを用いる場合はセミミクロ分析カラムから内径10mm程度のセミ分取カラムまで対応可能なシステムです。マニュアル注入,イソクラティック分離によるシンプルシステムから,オートサンプラ注入,グラジエント溶出による自動化システムまで,目的に応じたシステムを構築できます。
LCMS/ELSD分取システム
目的とする化合物が光吸収を持たない,試料溶液中の夾雑物が光吸収を持たない場合は,ELSD(蒸発光散乱検出器)やMS(質量分析計)などのように吸光度検出以外の原理を有する検出器も併せて利用することが分取の精製効率向上につながります。 特にMSをトリガーとした分取は,LCMSの高い選択性により夾雑成分が多く含まれる試料からでも,目的成分を高純度で得ることができます。
分析・分取自動切換システム

分析・分取自動切換システム流路図
分析・分取自動切換システムは,分析と分取の両スケールに対応し,分取条件の検討をスムーズに行うことができます。 流路切り替えバルブを切り換えるだけで,容易に分析/分取のスケール変更を行えます。 コンベンショナルカラムを用いた分離条件や試料負荷量の検討からスケールアップまでのプロセスを同一システムで行うことは,移動相溶媒の低減につながります。 分取後の純度確認も,分析モードに切り替えてスムーズに行え効率的です。
高性能リサイクル分取システム

クローズドループリサイクルの流路
リサイクル分離法を用いると,分離カラムから溶出した目的成分を含む溶出液バンドを同じカラムに繰り返し導入して,カラム長さを長くしたかのような効果を得ることができます。

20AR/20AP送液ユニットを用いたリサイクル分取システム(最大流量:20AR使用時20mL/min,20AP使用時150mL/min)は,高効率のリサイクル分離(クローズドループリサイクル分離)が行えるように内容積を最小化するキットを装着しています。
また,専用ソフトウェアRecycle-Assist(2012年1月25日発売)の,GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)によるシンプルな操作環境で,複雑なタイムプログラムを考える事なくメソッド設定が行え,かつマニュアルリサイクル分取から自動リサイクル分取へシームレスに移行が行えます。

本システムと適切なカラムを組み合わせると,理論段数百万段以上を得ることも可能で,非常に僅かな性質の違いしか持たないベンゼンとベンゼンモノ重水素置換体の分離も実現します(下図)。
また,ピークの出現するまでの溶出容量が35mL以上あれば,分析カラムサイズでのリサイクル分離も可能となります(下図)。 なお,リサイクル分離を行うと時間がかかるというイメージがありますが,近接した分離の場合は,試料を大量に注入してリサイクル分離をした方が時間当たりの分取処理速度を向上できる場合があります(下図)。
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合成物の確認や精製をサポート Open Solution Analytical
化合物の合成確認や精製のために,分取システムが多く用いられていますが,扱う試料の数が多いため,膨大な数の試験管に分画され,どのピークをどの分画試験管に分取したか分からなくなることがあります。 分取に供したサンプルとそのクロマトグラム,さらに,クロマトグラム上のピークとそのピークが分画されたバイアル(目的成分のフラクション)を間違いなく紐付け(サンプルトラッキング)されていることが,操作上重要です。

Open Solution Analyticalでは,バイアルラック図と分取結果と分画試験管とが相互に関連づけられて表示されます。 バイアルをクリックすると,クロマトグラムと分画されたバイアル,スペクトルの関連を一度に確認できます。 詳細は,TechnicalReport No.31をご覧ください。