保持時間の自動修正,保持指標の入力

Q: 分析対象化合物の化合物テーブルに保持指標を設定したい (基準化合物(n-アルカン等)の測定)
Q: 化合物テーブルの新規作成時に保持指標を入力したい
Q: 既存の化合物テーブルに保持指標を入力したい
Q: 化合物テーブルの保持時間の修正したい(AART)

分析対象成分が少ない場合に保持時間を修正する時は,下記操作方法もご参考ください

Q: 手動で保持時間を修正したい
Q: 同定結果をもとに保持時間を修正したい
AARTとは
GCMSsolution のAART(Automatic Adjustment of Retention Time)機能は,分析対象成分の保持指標*と基準化合物(n-アルカン)の実測値から分析対象成分の保持時間を推測でき,保持時間を修正することができます。  n-アルカンを一度分析するだけで保持時間の推測計算をすることができます。
*保持指標:成分の保持時間を基準化合物(n-アルカン)ピークの保持時間により指標化したもの。多くの化合物について,保持指標の値はすでに発表されており,未知化合物の同定などに利用できます。

保持時間修正手順(例:カラム切断時)は次のようになります。

測定環境変更前(例:カラム切断前)
1.基準化合物(n-アルカン等)の測定
 1.1 基準化合物用メソッドの作成
 1.2 基準化合物の測定
2.基準化合物の保持指標をメソッドに登録
 2.1化合物テーブルの作成
 2.2基準化合物の同定,データの保存

3.分析対象化合物に保持指標を登録
 3.1基準化合物の保持指標パラメータの読込
 3.2保持指標の自動算出,化合物テーブルに登録
測定環境変更後(例:カラム切断後)
4.新しい分析環境で基準化合物を分析
4.1 既存の基準化合物用メソッドをコピーしてメソッド作成
4.2 基準化合物の測定
5.基準化合物の保持時間を変更
 5.1 同定処理
 5.2 化合物テーブルの修正
6.分析対象化合物用メソッドの保持時間を修正
6.1 既存の分析対象化合物用メソッドをコピーしてメソッド作成
6.2 保持時間自動修正(AART)
6.3 自動修正された保持時間とMS装置パラメータの設定時間を確認
6.4 メソッドファイルの保存
Q: 分析対象化合物の化合物テーブルに保持指標を設定したい (基準化合物(n-アルカン等)の測定)(お問い合わせ番号1201)
A: 分析対象化合物を測定した直後(または,化合物テーブルを新規作成した直後)では,保持指標は入力されていません。 保持指標を入力するには,基準化合物(n-アルカン)を測定しその保持時間を使って,分析対象化合物のメソッドファイル(化合物テーブル)に保持指標を設定します。
説明資料:
gcms1201.pdf
(1,880kB,会員制サイト)
 
1. <基準化合物(n-アルカン)の測定>
[GCMS分析]ウィンドウで,分析対象化合物のメソッドファイルを開きます。 このメソッドファイルの内容を以下のように変更してください。
<変更(確認)内容>
 ・メソッドビューの[MS]タブでMS条件の設定
 (条件詳細は,説明資料gcms1201.pdfをご参照ください。 AART機能を使用時は,GCの制御モードは「線速度」を推奨
 ・定量処理パラメータウィンドウの[化合物テーブル]タブで,化合物テーブルの全ての行を削除

変更後,基準化合物(n-アルカン)用メソッドとして別名で保存します。

基準化合物の測定は,データ採取アシスタントバーの[サンプル登録]から行います。 [サンプル登録]画面を開き,データ採取条件を入力し(データファイル名は必ず入力),データ採取アシスタントバーの[開始]アイコンで基準化合物の測定をします。 データ採取が終了しますと,データファイルが自動的に保存されます。
2. <基準化合物の化合物テーブルの作成>
[GCMS再解析]プログラムで1.で測定した基準化合物の測定データを開きます。 化合物テーブルを[編集]モードにして,化合物テーブル上の基準化合物の[化合物名],[質量数],[保持時間],および[保持指標]等を入力します。(化合物テーブルで入力したい化合物の保持時間セルをクリックした後,対応するクロマトグラムのピークをクリックすると,保持時間が更新されます。)
[化合物名]や[保持指標値]は,以下の規則に従って入力してください。

入力後,化合物テーブルの[表示]ボタンをクリックして,化合物テーブルの編集を終了します。
3. <基準化合物の同定処理とデータ保存>
[定量処理]メニューの[全IDの波形処理]で,化合物テーブルに登録された化合物の同定処理を行います。
化合物テーブルの[結果]タブをクリックし,化合物テーブルに登録されている基準化合物が正しく同定されているかどうかを確認します。 正しく同定されなかった場合は,[定量グラフ]ビュー上の右クリックメニュー[手動波形処理]を選択して手動で波形処理を行います。

[化合物テーブル]結果画面
[ファイル]メニューの[データファイルを上書き保存]で基準化合物データの上書き保存します。 このデータファイルは,分析対象化合物の保持指標値を設定する際の基準情報として使用します。
4. <基準化合物の保持指標パラメータの読込>
分析対象化合物のデータファイル(同定済み)を開きます。
注:化合物テーブル[結果]タブに同定結果(化合物名と保持時間)が表示されていることを確認してください。
[化合物テーブル]メニューの[修正ウィザード]を選択後,[化合物テーブル 修正ウィザード(保持時間アシスト)1/4]画面で,保持時間の[同定結果をもとに修正]にチェックを入れます。
 [保持指標を修正する]にもチェックを入れ,[保持指標パラメータ]ボタンをクリックします。[定性処理パラメータ]画面で[データファイルから読み込み]ボタンをクリックし,3.で保存した基準化合物のデータを選択します。基準化合物情報テーブルに化合物名,保持時間,指標値が登録されていることを確認し,必要に応じて編集します。[OK]ボタンで画面を閉じます。

[化合物テーブル 修正ウィザード(保持時間アシスト)1/4]画面
[次]へボタンで[化合物テーブル 修正ウィザード(保持時間アシスト)2/4]画面に進み,化合物テーブルに設定された確認イオン比を,現在読み込まれている分析対象化合物のデータに合わせて設定しなおす必要が無ければ,全てのチェックボックスのチェックを外します。
5. <分析対象化合物の保持指標を登録>
[次]へボタンで[化合物テーブル 修正ウィザード(保持時間アシスト)3/4]画面に進み,表示されている各化合物の[保持指標]を確認します。 ここで表示されている[保持指標]は,[保持指標パラメータ]と化合物テーブルの[保持時間]を基に算出した値です。

[化合物テーブル 修正ウィザード(保持時間アシスト)3/4]画面
[次]へボタンで[化合物テーブル 修正ウィザード(保持時間アシスト)4/4]画面に進み,[完了]ボタンで画面を閉じます。
設定した保持指標は,化合物テーブルで確認できます。 データファイルを上書き保存して,分析対象化合物の保持指標を保存します。[メソッドに名前を付けて保存]で分析対象化合物のメソッドファイルにも,化合物テーブルコピー,保存します。
Q: 化合物テーブルの新規作成時に保持指標を入力したい(お問い合わせ番号1202)
A: 化合物テーブルの保持指標値は直接手動で入力することで設定できますが,n-アルカンのような基準化合物のデータファイルを利用して化合物テーブルの新規作成時に保持指標を設定することができます。

1. <メソッドの読込>
[GCMS再解析]ウィンドウで,保持指標を設定したいデータを開きます。
<注>[定性処理パラメータ]画面の[保持指標パラメータ]タブにパラメータが設定してある場合は,2~4の操作は必要ありません。5からの操作を行ってください。
2. <保持指標を入力>
[定性処理]メニューの[定性処理パラメータ]を選択して,[定性処理パラメータ]画面を開きます。 [保持指標パラメータ]タブをクリックし,[データファイルから読み込み]ボタンで基準化合物(n-アルカン)の測定データファイルを開きます。
[化合物名]には基準化合物データの化合物テーブルに設定された化合物名が,[保持時間]には同定結果テーブルの同定保持時間が設定されます。
(同定されていない化合物は表示されません。 前もって,基準化合物のデータの同定をしておく必要があります。)

 化合物テーブルで基準化合物データの化合物名が次の規則に従って設定されている場合,[基準化合物情報]テーブルに基準化合物の保持指標が自動的に登録されます。

必要に応じて,基準化合物情報を編集します。 保持指標値が自動で設定されない場合は,直接,値を入力してください。
3. <化合物テーブルを作成>
[化合物テーブル]メニューの[新規作成ウィザード]をクリックすると,[化合物テーブル]ウィザードが開きます。 画面の指示に従って設定し[次へ]をクリックし,6/7ページまで進んでください。
6/7ページに各化合物の[保持指標]が表示されます。 これは,2で設定した[保持指標パラメータ]と,化合物テーブルの[保持時間]を基に算出した値です。

[化合物テーブル ウィザード 6/7]画面
確認後,[次へ]ボタンで7/7ページに進み,[完了]ボタンでウイザードを終了します。 保持指標が設定された化合物テーブルが作成されます。
4. <化合物テーブルの編集とデータの保存>
化合物テーブルの保持指標を確認します。 必要に応じて,保持指標数値の編集します。[ファイル]メニューの[データファイルに名前を付けて保存]でデータを保存します。
5. <メソッドファイルを保存>
3.で作成した化合物テーブルは,他のデータにも使用したい場合は,メソッドファイルに保存する必要があります。 [ファイル]メニューの[メソッドに名前を付けて保存]で,該当メソッドを選択して保存します。
説明資料:
gcms1202.pdf
(1,100kB,会員制サイト)
Q: 既存の化合物テーブルに保持指標を入力したい(お問い合わせ番号1203)
A: n-アルカンのような基準化合物のデータファイルを利用して保持指標値を自動設定する方法を紹介します。

1. <メソッドの読込>
[GCMS再解析]ウィンドウで,保持指標値を追加入力したい既存データを開きます。
<注>[定性処理パラメータ]画面の[保持指標パラメータ]タブにパラメータが設定してある場合は,2~3の操作は必要ありません。4からの操作を行ってください。
説明資料:
gcms1203.pdf
(1,136kB,会員制サイト)
 
2. <保持指標を設定 1>
[化合物テーブル]メニューの[修正ウィザード]を選択後,[化合物テーブル 修正ウィザード(保持時間アシスト)1/4]画面で,保持時間の[同定結果をもとに修正]にチェックを入れます。
 [保持指標を修正する]にもチェックを入れ,[保持指標パラメータ]ボタンをクリックします。[保持指標パラメータ]画面で[データファイルから読み込み]ボタンをクリックし,基準化合物のデータを選択します。
(ここで基準化合物のデータの同定が完了していれば,[基準化合物情報]テーブルに,基準化合物の化合物名と保持時間,指標値が自動設定されます。同定されていない化合物は表示されません。)
同定結果テーブルで基準化合物データの化合物テーブルの化合物名が次の規則に従って設定されている場合,[基準化合物情報]テーブルに保持指標が自動的に登録されます。

基準化合物情報テーブルに化合物名,保持時間,指標値が登録されていることを確認し,必要に応じて編集します。[OK]ボタンで画面を閉じます。 [次]へボタンで[化合物テーブル 修正ウィザード(保持時間アシスト)2/4]画面に進み,化合物テーブルに設定された確認イオン比を,現在読み込まれている分析対象化合物のデータに合わせて設定しなおす必要が無ければ,全てのチェックボックスのチェックを外します。
3. <保持指標を設定 2>
[次]へボタンで[化合物テーブル 修正ウィザード(保持時間アシスト)3/4]画面に進み,表示されている各化合物の[保持指標]を確認します。 ここで表示されている[保持指標]は[保持指標パラメータ]と,化合物テーブルの[保持時間]を基に算出した値です。

[化合物テーブル 修正ウィザード(保持時間アシスト)3/4]画面
[次]へボタンで[化合物テーブル 修正ウィザード(保持時間アシスト)4/4]画面に進み,[完了]ボタンで画面を閉じます。
4. <保持指標の確認のデータの保存>
設定した保持指標は,化合物テーブルで確認できます。 データファイルを上書き保存して,分析対象化合物の保持指標を保存します。 [メソッドに名前を付けて保存]で分析対象化合物のメソッドファイルにも,化合物テーブルコピー保存します。
Q: 化合物テーブルの保持時間の修正したい(AART)(お問い合わせ番号1204)
A: AART(Automatic Adjustment of Retention Time)機能は,分析対象成分の保持指標とn-アルカンの実測値から分析対象成分の保持時間を推測でき,保持時間を修正することができます。  n-アルカンを一度分析するだけで保持時間の推測計算をすることができます。 下記は, 保持時間修正手順です。
説明資料:
gcms1204.pdf
(2,482kB,会員制サイト)
 
1. <基準化合物の分析>
基準化合物のメソッドファイルを,別名で保存します。(以前の基準化合物の装置条件や化合物テーブルを維持した,分析環境変更後のメソッドファイルを作成するため。)
変更後の装置環境で,別名保存した基準化合物のメソッドを使って,基準化合物(n-アルカン等)の測定を行います。
2. <基準化合物の化合物テーブルの確認>
[GCMS再解析]ウィンドウで,1.で測定した基準化合物の測定データを開きます。[定量処理]メニューの[全IDの波形処理]で,化合物テーブルに登録された化合物の同定処理を行います。
 化合物テーブルの[結果]タブで,基準化合物の変更後装置環境での保持時間が正しく同定されているかどうかを確認します。 正しく同定されなかった場合は,定量グラフビュー上で,右クリックメニューの[手動波形処理]で再度波形処理を行います。
[ファイル]メニューの[データファイルを上書き保存]で基準化合物データの上書き保存します。 このデータファイルは,分析対象化合物の保持指標値を設定する際の基準情報として使用します。
3. <分析対象化合物のメソッド作成>
[データエクスプローラ]の[メソッドファイル]タブで,"装置環境変更前"の分析対象化合物のメソッドファイルをコピー/ペーストし,別名で"装置環境変更後"の分析対象化合物用のメソッドファイルとして保存します。 
4. <保持時間の自動修正(AART)を実行>
2.で保存した基準化合物データを開きます。 [化合物テーブル]メニューの[保持時間の自動修正(AART)]をクリックします。 [メソッドファイルの選択]画面で,3.で作成したメソッド(装置環境変更後の分析対象化合物用メソッドファイル)を選択します。
[メソッドファイルの保持時間修正(AART)]ウィザードが開きます。 ウィザードの1/2ページには,基準化合物データの同定結果と各化合物の保持指標を表示しています。

[メソッドファイルの保持時間修正(AART) 1/2]画面

メソッドファイルの保持時間修正を必要としない化合物があれば,[処理]のチェックを外します。 [保持指標]が,下表になっているか確認します。
設定後,[次へ]ボタンをクリックします。
5. <保持時間の自動修正(AART)を設定>
[メソッドファイルの保持時間修正(AART)]ウィザードの2/2ページに切り替わります。 化合物テーブルの分析対象化合物の保持指標と,基準化合物データの同定結果(保持時間)をもとに算出した保持時間(推定)が表示されています。保持時間の計算方法は「説明資料gcms_1204.pdf 付録 保持時間の計算方法」を参照してください。

[メソッドファイルの保持時間修正(AART) 2/2]画面

さらに,算出された化合物テーブルの保持時間と保持指標をもとに,MS装置パラメータの設定時間を変更する場合は,[MS装置パラメータの設定時間も修正する]にチェックします。

[メソッドファイルの保持時間修正(AART) 2/2]画面

[MS装置パラメータの設定時間も修正する]チェックボックスがオフの時は,メソッドファイル中の化合物テーブルの保持時間,処理開始時間,処理終了時間,波形処理プログラム時間が修正されます。
一方,[MS装置パラメータの設定時間も修正する]チェックボックスをオンの時は,測定の開始時間,終了時間,MSプログラムの設定時間も修正されます。
設定後,[完了]ボタンをクリックし,[メソッドファイルの保持時間修正(AART)]ウィザードを閉じます。メソッドファイルを上書き保存します。
6. <自動修正された保持指標を確認>
メソッドファイルの化合物テーブルおよびMS装置パラメータの設定時間が修正されました。
[検量線]ウィンドウで,2.で作成したメソッドファイルを選択して開きます。
[化合物テーブル]で自動修正された保持時間を確認してください。 MS装置パラメータの設定時間を変更した場合は,[GCMS分析]ウィンドウで当該メソッドファイルを開き,設定を確認してください。
<注>ここで修正した保持時間等はあくまでも参考値です。実際の測定や解析に使用する前に,設定時間の微調整が必要な場合もあります。
7. <対象成分を分析したデータの読込>
装置環境設定後に測定した分析対象化合物のデータがない場合は,4.で保存したメソッドファイルにて分析対象化合物を分析してください。
装置環境設定後に測定した分析対象化合物のデータ(スキャンデータのみ)を開きます。
8. <保持時間を自動修正したメソッドファイルの読込>
[ファイル]メニューの[メソッドの読み込み]を選択し,5.で保持時間を自動修正したメソッドファイルを選択します。 [メソッドパラメータの選択]ウィンドウでは,[定量処理パラメータ]にチェックを入れ[OK]ボタンをクリックします。 [[1045]メソッド情報の読み込みを完了しました。]画面を[OK]ボタンで閉じます。
9. <同定および保持時間の確認>
[定量処理]メニューの[全IDの波形処理]で,化合物テーブルに登録された化合物の同定処理を行います。  [化合物テーブル]ビューで化合物テーブルを確認し,必要なら[編集]ボタンをクリックし保持時間の編集を行ってください。
10. <メソッドファイルを保存>
9.で編集した化合物テーブルを,他のデータにも使用したい場合は,メソッドファイルに保存する必要があります。 [ファイル]メニューの[メソッドに名前を付けて保存]で,該当するメソッドをに保存してください。
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