天びんの誤差要因-温度

今回は温度変化による誤差についてご説明します。特に最小表示が1mg以下の高感度の天びんではこの影響を特に考慮する必要があります。

●温度による誤差とは?

電磁式天びんではセンサー部に電磁力を発生させるマグネット他、さまざまな電子部品が使われていますが、マグネットは温度によりその強さが僅かに変化します。その他の部品もそれぞれ、温度により僅かに特性が変化します。
それらの原因により、天びんの感度は、季節や、同じ日・同じ場所でも朝と昼では室温が異なることで誤差が生じます。

●どの程度影響するのか?

実際にこの誤差はどれ位の大きさか計算してみましょう。

秤量:200g 最小表示:0.1mgの分析天びんがあり、感度の温度係数は 2ppm/℃ (このクラスの天びんだとだいたいこの位の数値です)とします。そして室温が5℃変化したとします。この天びんで50gのものを測定したとすれば、室温変化の前後でどれだけの誤差が生じるでしょうか?

答え: 50(g)×2(ppm)×1/1,000,000×5(℃)=0.0005(g)

つまり50gのうち0.5mgが誤差ということです。
それほど大きくないようにも感じますが、大きな試料の僅かな質量変化を測定したいときなどは相対的な誤差が大きくなるので注意が必要です。
例えば、
 (化学操作前) 50.0000g → (化学操作後) 50.0032g (質量変化 0.0032g)
といった質量変化を測定する場合などは質量変化 3.2mg 中の 0.5mg 、すなわち15%もの誤差を含んでいることになるということです。

正確な測定を行うためには、室温変化に応じて感度校正が大切です。
校正分銅を内蔵し、自動的に感度校正を行う天びんを用意しております。

●室温変化に応じて自動校正を開始する天びん
 PSC完全自動校正

天びんが感度に影響を及ぼす室温の変化をキャッチし、内蔵分銅により自動的に校正を開始します。
そのため感度は常に一定です。測定者の方は感度校正を気にかけることなく、測定作業に専念できます。

PSC完全自動校正機能により感度誤差は常に一定範囲以下

PSC完全自動校正機能により
感度誤差は常に一定範囲以下

●あらかじめ決めた時刻に自動的に校正を開始する天びん
 タイマーCAL

あらかじめ設定した時刻に天びんが内蔵分銅により校正を開始します。大切な測定作業の前(例えば朝の始業前、昼休み、夕方休み等)に校正時刻を設定しておけば、天びんがその時刻に自動的に校正を開始。感度校正を気にかけることなく安定した測定が可能です。

タイマーCAL