孤立/バンドル状態および金属/半導体の確認

図1はSWNTのラマンスペクトルです。 
上段はHiPco法、下段はレーザーオーブン法により製造されたものです。150~300cm-1 のRBM は、孤立化していくとシャープになります。
なお、上段のスペクトルには、1526cm-1 に金属SWNTに特有のBWFバンド(BWF:Breit-Wigner-Fano)が見られます。

図2はSWNTのUVスペクトルです。
SWNTはその丸め方(カイラリティー)により直径や物性が決定され、半導体または金属の性質を示します。これらは電子構造を反映しており、紫外可視近赤外分光光度計を使用することにより、可視から近赤外域の半導体および金属に起因する吸収スペクトル測定が可能です。
図2から半導体および金属に起因する三つのバンドが観測されます。状態密度の計算から、エネルギーの低いほうから順に試料中の半導体、半導体、金属の各CNTの光学遷移であることがわかります。
また、直径が細くなるに従い吸収バンドが高エネルギー側にシフトし、直径分布が広いと吸収ピークがブロード(広がりが増す)になります。
参考のため、同一試料のラマンスペクトルを示しました。

図1:SWNTのラマンスペクトル(試料ご提供:産業技術総合研究所 ナノテクノロジー研究部門)

SWNTのUVスペクトル

図2:SWNTのUVスペクトルとラマンスペクトル(試料ご提供:産業技術総合研究所 ナノテクノロジー研究部門)

 

ラマン分光光度計

ラマン分光光度計

レーザー光を試料に照射し、試料からのラマン散乱光を受光してラマンスペクトルを求めます。ラマンスペクトルは分子の振動に基づくもので、ラマンスペクトルから物質の定性や構造に関する知見が得られます。

SolidSpec

紫外可視近赤外分光光度計

紫外から赤外まで幅広い波長範囲での分光光度測定が可能です。
深紫外光の吸収の少ない素材を使用した光源、検出器、積分球を採用し、また分光器、試料室など全ての光路を窒素パージすることにより最大165~3300nm(DUV型にオプション使用時)の広波長領域での測定が可能です。
また入射角を変えながら透過及び反射測定が可能。
XYステージによる面内透過率マッピング測定に対応しています。