エドマン法によるマウスモノクローナル抗体のN末端アミノ配列解析

エドマン法によるマウスモノクローナル抗体のN末端アミノ配列解析

タンパク質のN末端解析はタンパク質構造解析の第一歩です。この解析はアミノ酸配列決定法として最も信頼性の高いエドマン法(タンパク質のN末端側からアミノ酸を順に切断して,アミノ酸配列を決定する方法)で行ないます。
プロテインシーケンサシステム(PPSQ)はエドマン反応, HPLCによる分離・検出,データ解析を自動で行ない,N末端側からのアミノ酸配列を決定します。

エドマン法によるマウスモノクローナル抗体のN末端アミノ配列解析例をご紹介します。

(実験・研究の流れ)
1) サンプル(マウスモノクローナル抗体,60pmol)をSDS-PAGE (還元条件下)に供します。
2) 電気泳動後,PVDF 膜へエレクトロブロッティングを行い,CBB染色を行ないます。
3) 図1の丸印部分を切り出し,PPSQに供します。

図1 PVDF 膜

図2にL鎖の第5サイクルまでの分析結果を示しました。
第1サイクルの結果からN末端のアミノ酸残基はD(アスパラギン酸)であることが分かります。第2サイクルの結果からN末端から2番目のアミノ酸残基はV(バリン)であることが分かります。
今回は21残基まで分析を行いましたが,その配列はN末端側からAsp-Val-Val-Met-Thr-Gln-Thr-Pro-Leu-Thr-Leu-Ser-Val-Thr-Ile-Gly-Gln-Pro-Ala-Ser-Ileであることが分かりました。

図2 L鎖の結果(Cycle 2以降は差クロマトグラム)

図3にH鎖の第5サイクルまでの結果を示しました。
PTH*4アミノ酸誘導体のピークが全く出現しなかったことからH鎖のN末端のアミノ基(αアミノ基)が修飾されていることが分かりました。

図3 H鎖の結果(Cycle 2以降は差クロマトグラム)

プロテインシーケンサ

  • エドマン反応部がシングルタイプ(PPSQ-31B)とトリプルタイプ(PPSQ-33B)の2種類があります。トリプルタイプでは3点の試料を順次自動分析することが可能であり,解析作業効率が向上します。
  • ピコモルレベルの微量分析が簡単に行うことができます。
  • LC分析はアイソクラティックモードを採用しているため,安定したリテンションタイムが得られ,アミノ酸の同定が容易かつ確実に行うことができます。