運動制御時の脳活動

リハビリテーション対象者の運動機能回復ならびに適応的な運動学習は,リハビリテーション関連職種(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)にとって重要な目標です。fNIRS研究は運動・動作中の脳活動を記録することが可能な利点から,急速にリハビリテーション研究領域に普及しつつあります。
以下に基本的な四肢の運動時(歩行,立位制御,上肢到達運動,下肢筋出力調節)の脳活動を示します。

下肢歩行運動時の脳活動(トレッドミル上)

A: 歩行速度4km/h条件における脳画像。安静時と比較して若干の両側一次運動野のOxy-Hb濃度長の上昇が認められました。また運動前野においてもOxy-Hb濃度長の増加を示しました。
B: 障害物回避条件(歩行速度4km/h)における脳画像。障害物回避条件(歩行速度4km/h)のOxy-Hb濃度長から歩行速度4km/h条件におけるOxy-Hb濃度長を減算。右運動前野および左前頭前野(背外側野付近)のOxy-Hb濃度長の増加が認められました。

立位制御時の脳活動

A: 使用した不安定板。 B: 閉眼閉脚立位保持時の脳画像。基準条件(開眼閉脚立位保持時)のOxy-Hb濃度長を減算。 C: 右片足立位保持時の脳画像。基準条件を減算。右内側一次運動野領域、右前頭前野のOxy-Hb濃度長の増加を認めました。 D: 不安定板上立位保持時の脳画像。左右の一次運動野,補足運動野,前頭前野領域のOxy-Hb濃度長の増加を認めました。

上肢到達運動時の脳活動

A: 実験風景。 B: プリズム眼鏡非装着時。 C: プリズム眼鏡装着時。右半球の頭頂葉損傷後,左半分の視野に注意が向けられなくなる半側空間無視という症状がしばしばみられますが,そのリハビリテーションとしてプリズムアダプテーションという手法があります。今回の実験では上肢到達運動においてその効果を基礎的に検証したものです。非装着時(B)に比べ装着時の上肢到達運動時において,右の前頭前野外側部および頭頂葉にOxy-Hb濃度長の増加を認めました。

右膝関節伸展運動時における筋出力調節時の脳活動

A: 20%MVC(maximal voluntary contraction)まで漸増運動した時の脳画像(安静時を減算)。 B: 40%MVCまでの漸増運動時。左内側一次感覚運動野にOxy-Hb濃度長の増加を認めました。 C: 60%MVCまでの漸増運動時。左内側一次感覚運動野および左右前頭前野にOxy-Hb濃度長の増加を認めました。 D: 20%MVCから漸減運動した時。 E: 40%MVCからの漸減運動時。 F: 60%MVCからの漸減運動時。漸増運動時に比べてOxy-Hb濃度長の増加を認めました(左右の前頭前野・補足運動野)。


(データご提供:畿央大学大学院健康科学研究科神経リハビリテーション学研究室 森岡 周先生)

参考資料
信迫悟志,冷水 誠,前岡 浩,森岡 周 : ニューロリハビリテーションと脳の機能的イメージング(1)歩行.理学療法27: 274-282, 2010
冷水 誠,前岡 浩,藤田浩之,森岡 周 : ニューロリハビリテーションと脳の機能的イメージング(2)立位制御.理学療法27: 387-392, 2010
谷口 博,松尾 篤,前岡 浩,森岡 周 : ニューロリハビリテーションと脳の機能的イメージング(3)上肢到達運動.理学療法27: 499-504, 2010
信迫悟志,竹林秀晃,冷水 誠,前岡 浩,森岡 周 : ニューロリハビリテーションと脳の機能的イメージング(5)筋出力調節.理学療法27: 706-712, 2010
*本データはFOIRE/OMMシリーズを用いて取得したものです。

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