クローニングとは,ゲノム編集等の遺伝子操作を実施した細胞集団の中から、特定のDNA配列を持つ細胞を検出・特定し,同じ遺伝子型となる細胞集団を作製すること(クローン株樹立)です。目的としては,抗体医薬向けに有用物質生産能が高い細胞株を選択したり、薬効評価向けに病態を再現した病態モデル株の作製があります。CRISPR/Cas9の登場やその後の改良によって、遺伝子改変操作は手軽に効率よく実施できるようになりましたが、その下流作業にある目的細胞株の選定工程は、依然として煩雑な手作業の連続となっています。
ここでは,遺伝子導入・ゲノム編集細胞を対象とした目的細胞株の選定作業を効率化する新規システムをご紹介します。クローン株樹立までの細胞の選別と回収,観察,遺伝子確認といった煩雑な作業工程を本手法に置き換えることで,クローニング工程における費用や労力の低減,作業効率の向上をご提案します。

クローン株樹立までのフローと各工程における課題

クローン株樹立までのフローと各工程における課題

細胞コロニーの取得

細胞コロニーピッキング装置 CELL PICKER

ノウハウに頼らないピッキング作業を実現

もうひとつの細胞を単離する方法として,コロニー分離法があります。一般的に、培養細胞単離後から増殖しにくく長い時間を要することがあります。そこで,コロニー分離法では、シャーレ(培養皿)に細胞を低濃度で播種し、個々の細胞が密着しない程度にコロニーが形成されたらピッキングします。
顕微鏡下でピペッターを用いてピッキングする方法は,非常に高度な熟練が必要な作業です。クローニングリングを用いてピックアップする場合は,トリプシンというタンパク質分解酵素を用いるため,細胞への化学的なダメージが懸念されます。そこで誰でも容易に細胞コロニーをピッキング可能な装置をご提案します。

平面/3次元培養細胞の観察

ラベルフリーイメージングシステム Cell³iMager duos2

ウェル全面を高速にスキャン

クローニングにおいては,細胞が本当に1個に単離できたのか,その後順調に増殖しているのかを観察・記録する必要があります。導入効率が低く難しい遺伝子改変を行う場合は,目的の細胞株を得るために,限界希釈法で96well plate複数枚に細胞を播種することもあり,全てのプレートを顕微鏡で観察することは非常に労力を要する作業です。そこで,ウェル全面を高速でスキャン可能なイメージング装置をご提案します。

変異導入・遺伝子の確認

DNA/RNA分析用 マイクロチップ電気泳動装置 MultiNA
 

低コストで簡便に遺伝子変異や挿入/欠失の有無が確認可能

単離した細胞が設計した通りに変異が導入されているかを確認するには,DNAシーケンサーを用いたDNA塩基配列解析が不可欠です。しかし,一般的にDNA塩基配列解析は,前処理や出力されたデータの解析などに多くの労力を要し,費用もかかります。そこで,あらかじめ変異導入の有無によって解析対象の選別を行い,DNA塩基配列解析に進めた方が効率的です。
その解析対象の選別方法として,変異導入のターゲットとなる近傍領域の遺伝子増幅(PCR)と電気泳動で選別できるヘテロ二本鎖移動度分析(HMA法)は,簡便かつ有用な方法として利用されています。しかし,従来のアガロースゲル電気泳動では,短い欠失や挿入の有無を検出することは困難です。そこで,アガロースゲル電気泳動に比べ,高い分離能と検出感度を有し,短い欠失や挿入の有無を検出することが可能なマイクロチップ電気泳動装置をご提案します。

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培養細胞を利活用するプロセス例 

細胞培養 細胞製造/非侵襲評価 細胞塊 物性評価

CELL PICKER,MultiNAは,株式会社島津製作所の商標です。
PERFLOWは古河電気工業株式会社の登録商標です。
Cell³iMagerは株式会社SCREENホールディングスの商標です。

本文書に記載されている会社名,製品名,サービスマークおよびロゴは,各社の商標および登録商標です。
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