肥料取締法は、肥料の品質等を保全し、公正な取引と安全な施用を確保するための法律です。 肥料は見た目では効果や安全性の判断ができません。また、実際に使用しても農作物の出来には天候など肥料以外の多くの要因が関係してくるため、農家にとっては粗悪な肥料や表示と異なる肥料を判別することはとても難しいのが現状です。従って肥料メーカーは肥料の品質に関する正確な情報を農家に提供する必要があります。

・堆肥施用量の減少等による地力の低下や窒素・りん酸・加里中心の施肥による栄養バランスの悪化
・家畜排せつ物や下水汚泥等の産業副産物を活用した肥料の重要性の高まり


などの背景から、今までの肥料取締法の内容では農業現場の実態に合わなくなり、 令和元年12月4日に「肥料取締法の一部を改正する法律」が公布されました。

※公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日が施行日となります。
※法律名は「肥料の品質の確保等に関する法律」に改正される予定です。

※参考:農林水産省HPの掲載資料 (外部サイトへのリンクです)

肥料取締法に基づく公定規格に定める「肥効試験=(肥料の効果を検証する試験)」は、分析、鑑定、無機化試験、栽培試験から構成されており、肥料の生産工程、含有成分等により試験が実施されます。

・分析:主成分、有害成分の含有量を肥料等試験法により確認すること  
・鑑定:X線回折等(目視、比重選別、定性反応、酸・アルカリ処理、顕微鏡鑑定等)により既存の肥料と同様であることを確認すること

肥料等試験法について

農林水産省農業環境技術研究所(現在の「国立研究開発機構農業・食品産業技術総合研究機構」)が定めた「肥料分析法」は、肥料の主成分、有害成分等の評価方法として採用され、肥料の品質保全と安全性の確保に活用されてきました。2020年2月、農林水産省告示の改正により、肥料の有効成分、有害成分等の分析法として独立行政法人農林水産省安全技術センター(以下、FAMIC)が定める「肥料等試験法」が採用されました。肥料等試験法(2020)では新たな試験法の追加および試験法の分類改正が行われ公開されました。

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肥料の鑑定方法について

肥料の形態観察、定性試験による肥料の有効成分の確認などの鑑定方法に関して、肥料生産業者や検査指導機関など肥料関係各方面から新たな肥料や分析装置の進捗に対応した鑑定方法当の公開が望まれていました。FAMICはふるい分け、比重分離など試料の調製操作及び顕微鏡観察、機器による同定など検出方法を体系的に整理し、 X 線回折装置による肥料の定性試験法などの新たな同定方法を収載した「肥料の鑑定方法(2019)」が掲載されています。今回、新たに検討した有機化合物を原料とする肥料、あるいは被覆肥料の樹脂系被覆原料の化合物を同定するフーリエ変換形赤外分光光度計による定性試験法を追加収載した「肥料の鑑定方法(2020)」が公開されました。

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