消えるインクの温度変化による反応解析 / FTIR

消えるインクの温度変化による反応解析 / FTIR

材料の開発には,様々な化学反応を解析し,制御することが求められています。この時,FTIRを用いて,一定間隔でスペクトルを取得し,任意の波数のピーク変化やスペクトルを3D表示することで反応解析を容易にします。書いた文字が付属のラバーで擦ることによって消すことができる特殊インクが注目されています。これは摩擦熱によってインク成分の反応が起こり,発色成分が変化して透明になる現象を利用したものです。
ここでは赤外顕微鏡に搭載することができる加熱ステージを用いて,特殊インクの温度変化を追った分析事例をご紹介します。

インクの顕微鏡写真

インクの顕微鏡写真

特殊インクはアルミ板の上に塗りつけ,加熱ステージにセットしました。
測定箇所を赤色枠で示します。
(赤外顕微鏡では,マウス操作により,アパーチャの開口面積,角度を自由に設定できます。)

加熱ステージは25℃から75℃まで,5℃/分で昇温するように設定し,30秒毎に1回測定ました。

測定開始直後0秒~600秒(10分)の2000 ~ 750cm<sup>-1</sup>の範囲の赤外スペクトルの3Dグラフを示します。

測定開始直後0秒~600秒(10分)の2000~750cm-1の範囲の赤外スペクトルの3Dグラフを示します。

測定開始直後0秒~600秒(10分)の2000~750cm-1の範囲のATRスペクトル重ね書き拡大図を示します。

2000~750cm-1の範囲の赤外スペクトル3DグラフやATRスペクトル重ね書き拡大図を見ると,昇温に伴っていくつかのピーク強度が減少(青↓),あるいは増加(赤↑)していることがわかります。

反応効率,反応温度

ピーク面積変化のタイムコースグラフ (上)時間軸 (下)温度軸

今回の測定のように時間軸に対する温度情報が既知であれば,タイムコースデータの横軸を温度軸に変換することも可能です。この時間軸グラフより反応効率,温度軸グラフより反応温度がわかります。

ここでは,1179cm-1付近のピークの面積値変化を示します。これより60℃付近でスペクトルが大きく変化していることがわかります。

赤外顕微鏡 AIM-9000

赤外顕微鏡 AIM-9000

赤外顕微鏡 AIM-9000

AIM-9000は,アパーチャ,ステージなどをPC制御可能とした,操作性に優れた赤外顕微鏡です。 これを用いれば,電子,半導体分野の微小パーツ(ICチップなど)上のミクロな不具合箇所などに赤外光を絞り込み定性情報を簡単に得ることができます。

タイムコース測定画面

タイムコース測定画面

試料を一定の時間間隔で継続して測定し,スペクトル全体の変化や,特定のピークの大きさの変化を示すタイムコースグラフを表示し,試料の反応追跡,時間変化などを測定するプログラムです。

* こちらはオプションソフトウェアになります。

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小型高温加熱ステージ Model S100

小型高温加熱ステージ
Model S100 *

赤外顕微鏡AIM-9000で使用可能な高温測定用の加熱ステージで,試料を常温から+500℃まで任意の温度にて設定が行えます。標準の窓板はKBrですが,用途により,石英,ZnSeなどを使用することも可能です。

  • 加熱方式:セラミックヒーター
  • 透過有効径:φ2mm
  • 水冷式

加熱ステージ本体のほか,温度コントローラー,テフロンチューブ,冷却水用チューブ,バルブが付属となります。
(上記仕様の他,-180℃の冷却も行えるステージもあります。)

* (株)エス・ティ・ジャパン製

システムの特長
●この加熱ステージは室温から500℃までの範囲で温度調節が可能です。
 透過法および反射法のいずれにも対応できます。
 温度制御ソフトウェアも搭載しています。
●試料の反応過程を解析するためのタイムコース測定プログラムにより,スムーズな測定が可能です。
●タイムコース測定プログラムでは,ピーク高さや面積の他に,それらの値を用いた計算値からも変化を追跡することができます。
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