熱重量測定によるCNFの熱安定性の評価

示差熱・熱重量同時測定装置 DTG-60A

示差熱・熱重量同時測定装置
DTG-60A

熱重量測定は,試料を一定の速度で加熱した時の重量変化を測定する手法です。蒸発,分解などの重量変化を伴う測定に応用され,熱安定性評価を行うことができます。CNFは結晶化度や重合度(繊維長)の違いにより性質が大きく異なり,熱安定性に関しても耐熱性の指標となる分解開始温度に違いが見られます。セルロース純度の高いCNFはセルロース試薬と同様の重量変化を示し,セルロース純度の低いCNFはセルロース試薬よりも低い温度から重量変化を示すと考えられます。

  • ロバーバル機構を採用した高感度・高安定天秤
  • ディテクタはメンテナンスが容易なプラグイン方式
  • 反応ガスを試料部に直接導入

80℃で10時間熱処理を行い乾燥させた木質由来のCNFと高純度セルロース試薬(純度97%以上)の熱重量測定を行い,それらのTG曲線を比較しました。CNFは140℃付近と260℃付近に2段階の減量が見られます。高温側に見られる2段階目の減量(分解)温度は,高純度セルロース試薬の減量(分解)温度とほぼ一致しました。よって,1段階目の減量はセルロース以外の含有物の分解に起因していることが示唆されました。