複合材料のCAE解析精度向上に寄与する強度評価手法
~CFRTPの面内・面外せん断特性~

近年,強度や耐久性が要求される自動車の構造材に,従来材料よりも比強度が高く,加工性,成形性に優れる炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材(CFRTP)の適用が検討されています。
均質な従来材料と違い,複合材料であるCFRTPは異方性を有し,負荷される応力主軸方向などによって,引張,圧縮,曲げ,面内せん断,面外せん断もしくはこれらが組み合わさる複雑な破壊挙動を示します。CAE解析等を用いて製品設計を行うことを念頭に試験評価する際には,それぞれの破壊挙動を純粋に評価可能な試験手法が強く求められています。今回は複合材料の面内,面外せん断特性を評価することが可能な試験システムをCFRTPの一種であるチョップドテープランダム積層材(CTT,ポリプロピレンベース)に適用した事例を紹介します。

面内せん断試験~仮想ひずみゲージ(DIC解析)による局所ひずみ依存性評価~

試験片形状 ひずみゲージ取付位置とランダムマーク塗布部分

試験片形状 ひずみゲージ取付位置とランダムマーク塗布部分

破壊画像と応力-ストローク線図の相関評価

破壊画像と応力-ストローク線図の相関評価

局所ひずみ評価 (仮想ひずみゲージとひずみゲージ比較)

局所ひずみ評価
(仮想ひずみゲージとひずみゲージ比較)

  • ひずみゲージ計測(4ch)によるASTMD7078 準拠面内せん断試験評価が可能。
  • DIC解析による面内ひずみ分布および仮想ひずみゲージによる多点ひずみ計測評価が可能。

面外せん断試験 ~ CAE解析を利用した新規試験手法の開発~

CAE 解析を利用した試験片形状の最適化

面外ひずみ分布の試験片形状依存性(CAE解析)

面外せん断試験

試験片固定治具と平行度調整圧盤

微小領域におけるひずみゲージ計測 試験片観察(X線透視観察&顕微鏡観察)

最もせん断特性が低く,せん断破壊のみが生じているA-3が最適な試験片形状

  • 従来,測定が困難だった面外せん断の線形・非線形挙動を実験的に評価することが可能。

謝辞 本研究の一部は経済産業省-NEDO委託事業「革新的構造材料等研究開発」の一環として行われたものであり,関係各位に謝意を表します。