相対モル感度(RMS)を利用したカフェ酸標準品によるりんごジュース中クロロゲン酸の定量分析

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ユーザーベネフィット

- JAS法に準拠した、相対モル感度(RMS)法によるりんごジュース中のクロロゲン酸の定量分析が可能です。 - はじめに標準品を用いて基準物質に対する目的成分の相対モル感度(RMS)を算出することで、以降のルーチン分析においては目的成分の標準品がなくても定量分析が可能なため、標準品の入手が困難な成分の分析に有効です。

はじめに

高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して食品中の物質の定量分析を行う場合、固体の純度または液体の濃度が既知の標準品を入手する必要があります。しかし、食品に含まれる様々な物質のうち、標準品を容易に入手できるものはごく一部に限られます。 2025年1月31日、日本農林規格等に関する法律(JAS法)において「JAS0031 食品又は農産物における相対モル感度を利用した定量法に関する一般要求事項」が規格として制定されました。相対モル感度 (Relative molar sensitivity, RMS)とは、基準とするある物質Xに対する別の物質Yの、単位物質量あたりのクロマトグラフ検出部の応答の比です。RMSを用いたクロマトグラフィーによる定量分析法(RMS法)では、まずはじめに物質X、Yの標準品を準備して分析し、ピーク面積比または検量線の傾きの比から物質Xに対する物質YのRMS値を算出します。その後は、物質Xの標準品があれば、RMS値を利用して、物質Xの標準品と実試料における物質Yのそれぞれの面積値から物質Yを定量することが可能です。このような特徴から、RMS法は標準品の入手が困難な物質の定量において有用と言えます。 本稿では、上記JAS試験法の規定に準じ、RMS法を利用してりんごジュース中クロロゲン酸の定量分析を行った例について紹介します。クロロゲン酸はカフェ酸とキナ酸からなるポリフェノール化合物の総称で、強い抗酸化作用をもつ機能性成分として知られています。本稿では、RMS法を利用することで、カフェ酸(Caffeic acid, CA)を基準物質として、一般的にクロロゲン酸と呼ばれている5-カフェオイルキナ酸(5-Caffeoylquinic acid, 5CQA)の定量分析を行いました。なお、RMS法には試料に基準物質を添加する「RMS内標準法」と、添加しない「RMS外標準法」がありますが、今回の分析ではJAS法を参考にして「RMS外標準法」を採用しました。

2025.03.30

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