電子冷却MCT検出器を用いた塗料と顔料のマッピング測定

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ユーザーベネフィット

- 電子冷却MCT検出器とオプションのマッピングソフトウェアを用いることにより、液体窒素を使わずに微小領域をマッピング測定することができます。 - マッピング測定は塗料や顔料の成分分布をケミカルイメージとして可視化することが可能です。

はじめに

自動車事故の科学捜査において、ひき逃げや接触事故などの現場に残された塗膜片から得られる情報は非常に重要です。自動車の塗膜は強度剛性を持たせるためのモノコック構造が基本となっており、多層構造となっています。事故現場に残された塗膜片がこの構造を保持していれば、塗膜片の各層を赤外顕微鏡で測定し、成分分析を実施することで、車種および製造された年代を特定できる場合があります。 また、歴史的に価値のある美術品の科学調査においても、赤外顕微鏡を用いて、使用されている顔料の成分および分布を調査することがあります。これにより、美術品制作の技巧研究だけでなく、修復保全のために必要な科学的知見(修繕に必要な手法と材料の選定)を得ることができます。 電子冷却MCT(TEC MCT)検出器は液体窒素を使わずに、最小25 µmまでの微小領域を高感度に測定できる赤外顕微鏡用の新しいオプション検出器です。赤外顕微鏡AIMsightおよび赤外ラマン顕微鏡AIRsightは、最小10 µmまでの極微小部まで測定可能なT2SL検出器を標準搭載していますが、使用する際は液体窒素が必要です。液体窒素は入手の不便さや凍傷・酸欠の危険性があるため、近年では液体窒素レスでの分析ニーズが高まっています。 本稿ではTEC MCT検出器を搭載した赤外顕微鏡システムによる自動車塗膜と有機顔料のマッピング測定事例を紹介します。

2025.01.06

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