血中循環腫瘍細胞分離濃縮装置とGC-MSの統合によるリキッドバイオプシー研究の促進

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ユーザーベネフィット

ー GC-MSは微量の代謝物(糖、アミノ酸、脂肪酸、核酸、有機酸など)を高感度に検出できるため、生きた腫瘍細胞を培養し、その培地を測定することで腫瘍の代謝に関する研究を促進します。 ー マルチオミクス解析パッケージを用いることで一次代謝物測定データだけでなく、細胞や培地に関するデータを読み込み、特徴量の多い測定項目(デジタルバイオマーカー)を検出できます。

はじめに

近年、リキッドバイオプシーはがん研究において画期的な技術として注目を浴びています。尿や血液などの試料を用いてがんの早期検出や治療効果のモニタリングを行うリキッドバイオプシーは、従来の組織生検に比べて非侵襲的で再検査が簡便であるとされています。 リキッドバイオプシーを用いたがんの早期発見や治療法の開発では、通常はctDNAが主に注目されています。しかし、ctDNAでは、DNAのみを測定するため、RNAやタンパク質など、血中循環腫瘍細胞(CTCs:CirculatingTumorCells)の解析も重要性を増しています。 特に、生きたままのCTCsを血液から独立させ、濃縮し、そのがん細胞を培養している培地に含まれる微量の代謝物の変化を把握することは、リキッドバイオプシー研究に大きな貢献をもたらす可能性があります。GC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析法)は、培地中の糖、アミノ酸、脂肪酸、核酸、有機酸などの一次代謝物を測定できます。 しかしながら、GC/MSを用いる際には、専門知識や代謝経路の作成において課題が存在しています。それらの課題を克服するため、本報では培地をガスクロマトグラフ質量分析計GCMS™-TQ8040NXとSmartMetabolitesDatabase™Ver.2で測定しました。 データベースを用いることでメソッド開発に必要な専門的な知識や技術が不要となります。また500成分以上の一斉測定でありながら測定は23分で完了します。試料はH358肺がん細胞とH1975肺がん細胞の2種類のCTCをCytogen社製SmartBiopsyCellIsolatorで分離し、個別の培地で単種で細胞数0個、1個、10個、100個でそれぞれ培養したものを用いました。血中循環腫瘍細胞分離濃縮装置であるSmartBiopsyCellIsolatorはHDMを用いた重力ベースのフィルタリングで、特殊コーティングにより回収率を最大化し、1検体25分のハイスループットでCTCを生きたまま単離する装置です。統計解析にはeMSTAT™SolutionVer.2とマルチオミクス解析パッケージを用いて、ANOVAと代謝経路図を組み合わせた可視化法や、代謝経路図上でCTC数測定データと各代謝物の相関関係を可視化し解析しました。

2024.07.17

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