筋力測定とGC/MSデータの統合による筋力低下研究の促進

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ユーザーベネフィット

- ボルケーノプロットの解析結果を代謝経路図に投影することで、統計的に有意差がある化合物の代謝経路位置を確認できます。 - マルチオミクス解析パッケージを用いることで一次代謝物測定データだけでなく、筋力測定データを読み込み、特徴量の多い検査項目(デジタルバイオマーカー)を検出できます。

はじめに

フレイル(筋力低下)は健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体機能や認知機能の低下がみられる状態で、高齢者が罹患しやすい症状です。日本では高齢者の8.7 %、米国では5 %が罹患しており、各国の医療保険に重大な影響を及ぼします1), 2)。しかし、筋力測定のみだけでは筋力低下の原因まで推察し研究することができず、フレイルの予防や改善に十分な情報を得ることができません。 代謝物の測定は、筋力低下のメカニズムや進行状況をより詳しく理解するために重要です。例えば、筋力低下によって代謝物のバランスが崩れることがあります。このバランスの崩れは、エネルギー代謝や栄養状態に大きな影響を与える可能性があります。そのため、代謝物の測定を行うことで、フレイルの予防や改善に向けた具体的なアプローチを見つけることができます。 さらに、代謝物の測定は、フレイルの治療効果を評価するためにも重要です。筋力だけではなく、代謝物の変化も追跡することで、治療の効果や予後をより正確に評価することができます。例えば、特定の代謝物の増加が治療効果の指標となる場合、その代謝物の測定結果をもとに、治療計画を調整することができます。 一方で、代謝物を測定することには、いくつかの課題も存在します。代謝物の測定には専門的な知識や技術が必要であり、測定方法や解釈には慎重さが求められます。また、測定には時間や費用がかかることもあります。 本報では筋力測定値が正常な健常者(ロバスト)と筋力低下している健常者(フレイル発症者)の2群の血清をガスクロマトグラフ質量分析計GCMS-TQ8040 NX と Smart Metabolites Database™ Ver.2で測定しました。 データベースを用いることでメソッド開発に必要な専門的な知識や技術が不要となります。また500成分以上の一斉測定でありながら測定は23分で完了します。統計解析にはマルチオミクス解析パッケージ(Garuda)を用いて、ボルケーノプロットと代謝経路図を組み合わせた新たな可視化法や、代謝経路図上で筋力測定データと各代謝物の相関関係を可視化し解析しました。

2024.04.02

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