GC-MS/MSを用いたナツメグに含有する主要精神活性物質の分析

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はじめに

ナツメグはMyristica fragransの乾燥種子で、古代から香辛料や薬用目的として世界中で使用されており、安価で広く販売されています。ナツメグには主要な精神活性物質としてサフロール、ミリスチシン、エレミシンが含まれているため、幻覚や酩酊を誘発させる目的で意図的に大量に摂取されることもあります。さらに、意図的ではないがナツメグの誤った摂取法による中毒も最近問題になっています。ナツメグの過剰摂取は、幻覚作用に加えて、吐き気、嘔吐、腹痛、興奮、眠気、めまい、頻脈、かすみ目、口渇、紅潮などの臨床症状と関連しています。しかし、ナツメグの過剰摂取事例の大部分は軽度であり、致命的になる可能性は低いとされています。ナツメグ中毒の症状は通常、摂取後2~8時間で現れ、数日以内には治まるとされています。ナツメグの摂取が関連した死亡事例は,これまでに世界的にも2件のみです。 最近の研究において、ナツメグパウダーを摂取したボランティアから生体サンプルを採取して,主要精神活性物質の代謝物の特定などが行われていますが、これまでにナツメグによる中毒事例は多く報告されているにもかかわらず、中毒時のサフロール、ミリスチシン、エレミシンなどの主要精神活性物質の血中濃度と半減期について評価した報告はありません。そこで、GC-MS/MSを用いた3種類の精神活性物質の分析法を構築し、ナツメグ中毒患者において、これらの主要物質の血中濃度を測定し、経時変化を評価しました。

2024.03.05

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