GCMS-TQ™8040 NX
代謝経路図上での時系列・相関分析を用いた性別による加齢の差異解析
ユーザーベネフィット
- Smart Metabolites Database™ Ver. 2を用いることで簡便にGC-MSを用いた一次代謝物測定が可能です。 - マルチオミクス解析パッケージを用いることで一次代謝物測定データを代謝経路図に可視化し、年代別解析や相関解析により各試料群に特徴的な成分を検出できます。
はじめに
日本総務省統計局の調べによると2023年現在、日本の総人口1.25億人のうち65歳以上の高齢者が占める割合は29.0 %とされ人口の約3人に1人は高齢者です。1947年から1949年生まれの「団塊の世代」が2022年から75歳を迎え始めたことで、75歳以上(後期高齢者)の人口は他の年代と比較し特に顕著な増加傾向にあり2023年は総人口の15.5 %(前年14.9 %)を占めています。 後期高齢者は疾病を発症するリスクが高く、また長期化しやすいため、日本では後期高齢者に他の年代と異なる医療制度を設けています。疾病罹患率の悪化の要因として加齢に伴う身体機能変化が考えられ、老化により糖代謝の異常による耐糖能の低下により食後血糖が上昇しやすくなることや、脂質代謝の異常により肝臓に保管される脂肪酸容量が減少することが論文により報告されています。 また同じ後期高齢者でも性別により加齢による健康状態の変化に差異があり、男性は心臓病や脳卒中などの生活習慣病に罹患し介助が必要になることが多く、女性は骨や筋力の衰えにより運動機能が低下し自立度が落ちていく傾向があるとされています3)。これらの差異にも代謝物量の変動が影響していると推測され、高齢者の性別間での代謝物量差異を解明していくことが喫緊の課題となっています。 本アプリケーションでは、70歳以上85歳未満の健康者の血清に含まれる一次代謝物をガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)で測定しました。測定結果から性別間の差異を見つけるため、「マルチオミクス解析パッケージ」を用いて解析しました。マルチオミクス解析パッケージは多変量解析(主成分分析や階級クラスター分析など)やボルケーノプロット、代謝マップなどのデータ可視化機能を備えた解析ソフトウェアです。一次代謝物測定データを代謝経路図に可視化し、年代別解析や相関解析により性別による差異を解析した分析例をご紹介します。
2023.09.12