バイオ医薬品
MultiNAによる自動分析を用いたTotal RNAの品質評価
ユーザーベネフィット
- 電気泳動の操作をほぼ全自動で実施することができます。 - 28S rRNAと18S rRNAの割合(28S rRNA/18s rRNA)は自動解析にて算出され、RNAレポート内で確認できます。 - 数値化された結果により、Total RNAの品質を客観的に評価することができます。
はじめに
生体組織サンプルからのTotal RNAの抽出は、ノーザンブロット、cDNAライブラリ作成、クローニング、シーケンシング(次世代シーケンシング、サンガーシーケンシング)、PCR(リアルタイムPCR、定性PCR)など、さまざまな実験の出発材料となる重要な操作です。サンプル採集、前処理および保存の条件は、得られるTotal RNAの品質や収量に大きく影響します。 抽出後のTotal RNAの品質評価には紫外(UV)分光光度計による測定と電気泳動(変性アガロースゲル電気泳動)が用いられています。 Total RNAの吸光度による純度検定において、A260 /A280 のO.D値は2.0がその品質評価の目安となります。2.0以下であればタンパク質や調製時の試薬の混入が懸念されます。また、RNAはDNAに比べて分解されやすいといわれています。Total RNAを電気泳動し、18S rRNA と 28S rRNAの比からその分解度を評価することができます。Total RNAを電気泳動で分析すると 18S rRNA と 28S rRNA は不純物がなければ2本のピークで検出されます。生体内で18S rRNAと28S rRNAの大きさの比は1:2 であることから、高品質なTotal RNAの電気泳動結果は 1:2 のピーク比で検出されます。 RNAの電気泳動では変性アガロースゲルを用いて分析を行います。ゲルの作成、サンプルのアプライ、電気泳動、検出、後片付けまで各工程に手間がかかります。 本稿では、島津マイクロチップ電気泳動装置を用いてTotal RNA の品質評価について紹介します。
2023.03.23