卓上型MALDI-TOF MS“MALDI-8030”を用いたアンチセンス核酸の配列確認

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はじめに

核酸医薬は比較的新しい医薬品モダリティーのひとつとして近年特に注目されています。抗体医薬品などのバイオ医薬品と異なり化学合成が可能であるため、製造コストを抑えられるなどのメリットがある一方で、品質担保のための分析法開発やその標準化は発展途上であり、産学連携の取り組みも進められています。 質量分析(MS)は様々なソフトイオン化法の発展と装置そのものの性能向上により、核酸やタンパク質、糖鎖などの生体高分子の分析法として定着してきています。一般的に、核酸の配列解析にはタンデム質量分析技術(MS/MS)が用いられますが、通常のイオン開裂技術として汎用されるcollision-induced dissociation (CID) では、特に内部配列を示唆するフラグメントが出にくいのが課題でした。 マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法は核酸のみならず様々な生体高分子をイオン化する技術として用いられています。基本的にMALDI法は試料のフラグメント化を起こさずソフトにイオン化することのできる技術ですが、特殊なマトリックスを用いたり、レーザー強度を上げることでイオン化と同時にフラグメント化するインソース分解(in-source decay; ISD)を起こし、構造解析に利用する事もできます。このISDを核酸の配列解析に用いた場合、単純開裂に基づく解釈が容易なマススぺクトルが得られるため配列解析に有用であることが知られています。 本アプリケーションニュースでは、卓上リニア型MALDITOF MS (MALDI-8030) でISD測定を行い、合成アンチセンス核酸の配列解析を行った例をご紹介します。

2022.12.12

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