セルロースナノファイバーの繊維長・分散性評価

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はじめに

セルロースは植物の細胞壁の主成分として存在している多糖類です。セルロース繊維を解繊することで、ナノセルロースと呼ばれるものが得られます。その中でも一般的に幅が4 nm~100 nm、長さが数μm 以上、高アスペクト比(100以上)のものがセルロースナノファイバー(CNF)と呼ばれています。CNF には植物の繊維から取り出す以外にもセルロース合成菌を用いて調製されたバクテリア由来のナノセルロース(発酵ナノセルロース)も含まれます。 CNF は軽量・高強度・低熱膨張性・ガスバリア性・吸着性・増粘性・透明性を持つ高機能性材料です。また、植物繊維由来の材料のため持続性のある資源で環境負荷が少ないという特徴を持っています。今後、自動車部品や電子材料をはじめとした様々な分野への応用が期待されています。 一方で CNF の物性評価に関しては、手法が十分に確立されていないことが課題として挙げられます。CNF の物性には繊維長・繊維径が関係していることが知られており、主に顕微鏡などで測定が行われています。顕微鏡では繊維を 1 本ずつ測定していくために正確な測定が可能ですが、測定に時間がかかります。また、一般的に顕微鏡の測定では、乾燥させた状態で測定を行っているため水分散させている状態と異なっている可能性があります。そのため、水分散させた状態での CNF の繊維長や分散性を短時間で簡便に評価したいという要望もあがっています。 本稿では、ナノ粒子径分布測定装置 SALD™-7500nano 高感度型(特別仕様)を用いた、様々なCNFの繊維長および分散性を評価した一例を紹介します。

2021.07.31

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