感作ラテックスの分散性/安定性評価 –体外診断用医薬品(臨床検査薬)分野におけるqLD 法の活用–

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はじめに

体外診断用医薬品(臨床検査薬)の中には、抗原もしくは抗体などのタンパク質を表面に吸着したラテックス(感作ラテックス)を使用するものがあります。感作ラテックスを用いた検査は、他の手法と比較して簡便・迅速に実施可能なため、病気や妊娠の有無の検査などに広く用いられています。感作ラテックスを用いた手法の中には、感作ラテックスと検査対象物質の抗原抗体反応により生ずる凝集を利用して検査を行うものがあります。こうした手法の場合、感度を高めるためには検査対象物質との凝集は促進する必要がありますが、その一方で、自己凝集や検査対象物質以外の物質との非特異的な凝集は使用可能期間の短期化や誤った検査結果につながるため、抑制が必要です。そのため、凝集性のコントロールが重要な課題となります。凝集性には感作ラテックス濃度、溶液組成(pH、塩濃度など)といった複数の要素が関与するため、創薬においては多岐に渡る条件検討を実施し、分散性・安定性との関係を評価することが必要となっています。 バイオ医薬品凝集性評価システム「Aggregates Sizer TC」(以下、Aggregates Sizer TC)は 1 測定数秒程度で粒子径分布の定量測定が完了するため、このような多岐に渡る条件検討の効率化に有用です。また回分セルを用いた撹拌試験により、安定性の加速試験を実施することも可能です。本報では、Aggregates Sizer TC を用いて、ProteinA もしくは ProteinGを感作したラテックスについて分散性と安定性を評価しました。分散性に関しては、ProteinA 感作ラテックスを使用期限を過ぎて保管することで凝集を生じさせた上で、原液と希釈液のそれぞれに分散処理を加え、濃度が分散性に与える影響を評価しました。安定性の確認としては、ProteinG 感作ラテックスに対し、pH や塩濃度の異なる溶液中で撹拌ストレスを与え凝集を促進することで、溶液組成が安定性に与える影響を評価しました。その結果、条件ごとの分散性・安定性の差異を確認できたため、ここに報告します。

2021.07.31

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