Aggregates Sizer を用いた異なるストレス条件下におけるタンパク質の凝集性評価

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はじめに

近年バイオ医薬品は,病原を特異的に攻撃できるため,副作用が少なく,効果が大きい点で注目を集めています。一方で,低分子医薬品と比較するとストレスに弱く,凝集しやすいという性質があります。バイオ医薬品がストレスにより凝集などを起こすと薬品としての効果の低下・消失だけでなく,免疫反応によるショック症状など重篤な副作用の可能性が指摘されています。そのため,バイオ医薬品が受ける可能性のあるストレス(輸送・保存・使用時などの熱・物理的ストレス)について安定性を評価する枠組みが整備されつつあります。 バイオ医薬品の一種であるタンパク質製剤では,凝集体は主に 0.2-10 µm の SVP(Sub VisLble Particle)と呼ばれる領域に生じます。しかし従来のタンパク質凝集体の評価手法では「SVP 領域を一度に測定できない」,「ストレスを与えながらの測定ができない」,「測定したサンプルが回収できない」,「定量ができない」といった問題がありました。こうした課題を克服するため,バイオ医薬品凝集性評価システムAggregates Sizer(Fig. 1)が開発されました。 本報では,Aggregates Sizerを用いIVIG(Intravenousimmunoglobulin,静注用免疫グロブリン)に熱・物理的ストレスを与え,凝集体形成の評価を行いました。SVP 領域の凝集体の定量により,ストレスの種類や攪拌棒の材質ごとに凝集体形成過程・速度が異なることを示せたため,ここに報告します。

2021.07.31

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