
IRTracer-100
牛乳に含まれる成分の分析手法として、例えば、たんぱく質についてはケルダール法、脂質についてはレーゼ・ゴットリーブ法、炭水化物の主成分であるラクトースについては比色法*3があります。いずれも広く適用されている手法ですが、溶媒や試薬が必要であり、測定に時間を要するという課題を抱えています。 近赤外分光法は、たんぱく質、脂質および炭水化物のような複数の乳成分を同時に定量できる手法です。近赤外領域の吸収は中赤外領域の吸収と同様に、分子の振動に基づくものですが、中赤外吸収の倍音、結合音に由来した吸収となります。また、近赤外吸収は中赤外吸収に比べ強度はかなり弱くなり、吸収の弱い試料の測定は難しくなりますが、試料を希釈せずに測定ができることが特長となります。また溶媒自体の吸収も弱くなるため、例えば水溶液の測定も比較的容易に行えます。近赤外スペクトルは、ブロードな(幅広い)ピークやピーク同士の重なりが多いため、定量分析にはケモメトリクス(多変量解析)を用います。 本稿では、ケモメトリクスの PLS 法を用いた近赤外分光法による牛乳中のたんぱく質、総脂質および炭水化物の定量を行いました。
2020.07.07
一部の製品は新しいモデルにアップデートされている場合があります。