KBr錠剤成形用の簡易KBr プレートKBr Cuttingsを用いた自動車異物の分析

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はじめに

KBr 錠剤法は主に固体試料を測定するための手法です。この手法はハロゲン化アルカリが可塑性を持ち、圧力を受けると透明な板になるという性質を利用しています。錠剤成形に用いられるハロゲン化アルカリとしては臭化カリウム(KBr)が最も一般的ですが、塩化カリウム(KCl)やヨウ化セシウム(CsI)が用いられることもあります。従来この手法では、KBrと測定試料をメノウ製乳鉢でそれぞれ粉砕した後、適切な濃度になるよう混合して加圧し錠剤成形を行っていました。しかしながら、粉砕した KBr は結晶状態と比較して吸湿しやすく、また乳鉢からのコンタミの恐れもありました。さらに加圧成形は分析者の負担になる作業であり、濃度調整にも時間を要していました。 KBr Cuttings を使用する場合、面倒であった KBr をすり潰す手間やメノウ製乳鉢を用いた試料との混合作業は不要です。KBr Cuttings は KBr の結晶をカットしたプレートです。2 枚の KBr プレートの間に測定したい試料を挟んで錠剤成形器にセットして加圧するだけで、良好な KBr ディスクが作製できます。KBr Cuttings を使用する場合、FTIR の測定手法は透過法を選択します。透過法には、反射法や ATR 法と比較して検出器が受ける光量が多く、感度の良い測定ができるという利点があります。 Application News No.A536 では、KBr Cuttings の使用手順および医薬品の確認試験を行った分析例をご紹介しました 1)。ここでは、KBr Cuttings を用いた自動車異物の分析例をご紹介します。

2017.08.01