
石油化学
CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化プラスチック)は樹脂を炭素繊維で強化し、軽量かつ高強度、高剛性という優れた特徴を持つ複合材料です。近年では、航空機や自動車などの輸送機、土木建築など幅広い分野で応用が進められています。 航空機や高速鉄道には、加熱すると硬化する熱硬化性樹脂を用いた熱硬化性 CFRP が主に用いられ、代表的な母材としてエポキシ樹脂が使用されます。熱硬化性 CFRP は非常に優れた強度と剛性を持ちますが、①生産に時間がかかる、②鉄やプラスチックのように変形せず二次加工の難易度が高い、③リサイクルが難しく製造コストが高いこと、などが課題となっています。 一方、加熱すると軟化する熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性CFRP も、自動車構造部品への適用が検討されています。熱可塑性 CFRP に用いられる代表的な母材は、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)など多岐にわたります。熱可塑性 CFRP は、強度や剛性の面で熱硬化性 CFRP に劣りますが、量産性に優れ、二次加工も容易であり、リサイクルが可能であることから製造コストも比較的安価に抑えられます。したがって、量産型の自動車の軽量化を担う新規材料として、熱可塑性 CFRP が注目されています。 フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)による分析では、CFRPに使用される樹脂の判別が簡単に行え、CFRP をリサイクルする前に樹脂成分を確認する品質管理において有用です。本稿では、FTIR を用いて熱硬化性 CFRP と熱可塑性 CFRP を測定し、樹脂の判別を行いました。
2020.07.07