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はじめに

光触媒はその酸化還元作用や親水作用などの特長を利用し,主に環境浄化やセルフクリーニング,抗菌・殺菌などの分野で発展してきましたが,最近では再生可能エネルギーの一翼として光触媒を利用した人工光合成が注目されています。光触媒には大別して,金属酸化物や窒化物などの半導体とルテニウムやレニウムなどの金属錯体があり,今回対象とした KCa2Nb3O10 は,ペロブスカイト型ニオブ酸カルシウム層とカリウムイオン層による積層構造のイオン交換体で半導体光触媒の 1 つでもあります 1, 2)。半導体光触媒の性能評価には様々な分析評価方法が用いられますが,今回は合成条件の異なる 4 種類の KCa2Nb3O10 粉末に対し,ポリキャピラリー光学系を持つ X 線回折による結晶構造評価,紫外可視近赤外分光光度計を用いた吸収スペクトル測定およびバンドギャップ計算,さらに顕微ラマン分光光度計を用いたイメージング測定を行いましたのでご紹介します。

2021.03.28