顕微ラマン分光法による象牙質―樹脂界面のマッピング測定

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はじめに

歯科材料の接着技術の発展はめざましく,材料や方法にさまざまな改良が加えられています。それに伴い樹脂が象牙質へ浸透する深さは10μm程度から1μm近くにまで薄くなっていく傾向にあります。この浸透層における樹脂成分の分布を観察することは,接着機構や接着強度を考察する上でたいへん重要であり,その適切な分析手法が求められています。顕微ラマン分光法は,空間分解能が1μm程度と小さいこと,またオートステージを装備すればマッピング測定にも対応できることから,数μmレベルの領域の表面分析には有効な手段と言えます。今回,顕微ラマンを用いて象牙質―樹脂界面に対してマッピング測定を行ない,有効な情報が得られたので,その結果をご紹介します。

2001.01.16