
クリーンエネルギー
エンジンオイルとは、エンジンに使用される潤滑油です。エンジン内部では各部品が高速で動作し、その際に金属の摩耗や焼き付き(シリンダー又はピストンに傷が入る現象)が生じます。これらを軽減するためにエンジンオイルで内部を潤滑します。さらに、エンジンでは燃焼や回転運動により種々のスラッジ(汚れ、燃えカス)が発生し、これによってエンジンの性能や寿命の低下を引き起こします。エンジンオイルは、スラッジを吸着することや分散させる役割も担っています。 煤(すす)は、燃料の不完全燃焼によりエンジン内部に発生します。エンジンオイル中の煤量が増加すると、潤滑性能の低下や、煤が研磨剤となって樹脂部品等を破損することがあります。したがって、エンジン内部の煤量はエンジンオイルの交換時期を示す指標になります。 フーリエ変換赤外分光光度計 FTIRによる煤量測定の方法は、ASTM E2412-10に定められています。ここでは、光路長が0.1 mm(0.08~0.12 mmは許容範囲)の液体セルを用いて透過測定を行い、2,000 cm-1における吸光度値から煤量を測定する方法が記されています。この手法は、正確性や安定性に優れますが、液体セルの洗浄に時間を要します。 ここでは、より効率的に測定作業を行えるよう、試料台の洗浄が簡便なATR測定装置を用いた煤量測定の手法を紹介します。
2019.11.01