積分球を使用した反射測定 ―酸化アルミニウム標準白色板の利用―

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はじめに

固体試料や懸濁した液体など、散乱性のある試料測定では、一般的に積分球が使用されます(図 1)。積分球は球形で、内壁が硫酸バリウムなど反射率の高い光散乱素材で作られており、取り込んだ光(測定光)を散乱させ均一にする効果があります。これにより散乱性のある試料を測定する場合も、試料からの透過光や反射光を高精度で検出することができます。 積分球を用いると、標準白色板の反射率を基準として、試料の相対反射率が測定できます。標準白色板には一般に粉体の硫酸バリウム(BaSO4)を押し固めたものが使用されますが、BaSO4に含有される水分が吸収をもち、測定結果に影響を与えます。こちらについての詳細は、アプリケーションニュース No. A639 をご参照ください。 上記に記載した BaSO4 の欠点を補う素材として、フッ素樹脂系標準白色板と酸化アルミニウム(Al2O3)があります。フッ素樹脂系標準白色板は、紫外域から近赤外領域の広範囲にわたって高い反射特性をもちますが、高価な素材であり、汚れた場合には再研磨や交換が必要です。一方、Al2O3は安価な粉末試薬で、汚れた場合には詰め替えが容易であり、かつ近赤外領域において高い反射特性を有します。 本稿では Al2O3、BaSO4、フッ素樹脂系標準白色板を使用して、紫外可視近赤外分光光度計 UV-3600i Plus と積分球付属装置 ISR-603 により測定した反射率スペクトルを比較しました。

2020.10.19

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