
ライフサイエンス
近年,多くの国・地域で健康意識が高まり,様々な食品が注目を集めています。例えば,日本人の主食であるコメに関しても,精米の他に玄米・胚芽米などが広く認知されるようになりました。そうした健康食品の効能を評価するために,様々な分析・観察手法が利用されています。 そのひとつに電子顕微鏡観察があります。これは,食品の効能やおいしさに関係する微細構造を調べるために利用されます。しかし,内部を観察するには試料の切削・金属被膜成形が必要となり,観察面の変形が起こります。また,観察する断面毎に前処理をおこなうため,手間が掛かります。 そこで,試料の前処理なしで内部構造を非破壊観察できる,X 線 CT システムが有用となります。X 線 CT では一回の観察で得られたデータから,試料の任意断面を観察できます。また,専用のソフトウェアを用いることで,選択した領域の寸法,体積,内孔率などの 3 次元評価も可能です。 本稿では,マイクロフォーカス X 線 CT システム inspeXioSMX-100CT を用いた籾(殻を取り除く前の米)の撮影データを紹介します。
2016.12.14