
食品・飲料
加工食品中トランス脂肪酸の分析は,主に高分離能のキャピラリカラムを装着した GC,GC/MS で行われています。脂肪酸メチルの GC による異性体分離,特にシス体とトランス体の分離にはシアノプロピル系の強極性キャピラリカラムが多く用いられています。しかし強極性カラムを用いて 1 試料あたり 1 時間程度を費やしても検体中に多数存在する異性体分離は完全ではなく,様々な夾雑物が含まれる加工食品では定量が困難な場合もあります。一方,FTIR の場合は油脂の直接測定が可能で,測定時間が試料のセットや洗浄を含めても5 分程度と短く効果的であると考えられますが,食品由来の夾雑成分の影響が懸念されます。 従来,食品や生体試料などから油脂を抽出するにはクロロホルム/メタノール等の環境負荷が大きい溶媒を大量に使用する事に加え,GC,GC/MS 分析のためにメチル化の操作が必要であり煩雑でした。 今回,大阪府立大学 山本公平先生指導のもと,加工食品試料に対してケン化処理法と従来からの溶媒抽出法での前処理を行い,得られた試料をFTIR法およびGC 法で分析し,分析用試料調製法と分析法の違いによるトランス脂肪酸メチル定量結果への影響を比較検討しましたので報告します。
2022.09.02