
自動車
近年、自動車業界では、地球温暖化対策として、自動車の燃費向上が大きな課題となっています。この対策としては、車体の空気抵抗やタイヤの転がり抵抗などの低減など様々な対策が考えられますが、最も有効な対策の一つとして、車体の軽量化があげられます。車体の軽量化を行うためには、部材の厚さを薄くすることが考えられる一方、安全性の要求から、強度の高い材料の開発が行われています。その一例として、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon fiberreinforced plastic)や高張力鋼(ハイテン)があげられます。 CFRP は、樹脂を炭素繊維で強化した材料であり、複合材料の中でも特に比強度、比剛性に優れます。すでに熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂として使用した CFRP は、レーシングカーや高級車に使用されていますが、近年ではより成形性に優れる熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とした CFRTP(Carbon fiber reinforced thermoplastic composite)の開発も行われています。一方、高張力鋼(ハイテン)は、一般構造用鋼材より強度を向上させた材料であり、強度が1000 MPa 以上の材料も開発されています。 今回は、自動車の車体に多数使用されている中空フレームとして CFRTP およびハイテンのハット材を用意し、軸圧縮試験を実施しました。それぞれの圧縮強度を測定するだけでなく、破壊箇所を特定するために、試験結果に同期した動画撮影を行いました。
2019.05.19