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はじめに

セルロースは植物細胞の細胞壁及び綿花等の主成分で、地球上で最も多く存在する炭水化物であり、古くから紙や綿繊維等の原料として利用されてきました。近年、セルロースをナノレベルまで解繊することで、機能性を向上させたセルロースナノファイバー(以下、CNF)が注目されています。CNFは植物由来の材料であるため環境負荷が低く、低線膨張性、ガスバリア性、透明性などの機能を持っています。また、鉄鋼の 1/5 の軽さで 5~8 倍の強度と高い比強度を示します。そのため、CNF により熱可塑性樹脂を強化することで、高強度かつ軽量な複合材料を開発する研究が進められています。 熱可塑性樹脂の特徴のひとつに生産性の良さがあげられます。また、大量生産される樹脂成形製品の多くは、射出成形、押出成形等の手法により樹脂を溶融して成形されます。例えば射出成形の場合、適切な温度や圧力は、樹脂の種類や金型形状などにより異なり、条件が悪いと充填不良・過充填・ひけ・ボイドなどの成形不良の原因になります。また、適正な条件で成形を行っていても、原料の樹脂の状態が変われば、成形の不具合につながります。そのため、CNF で強化した樹脂材料においても、最適な成形条件を求めることが重要になってきます。 今回は、熱可塑性樹脂のこれらの成形性を評価する手法の一つとして、フローテスタ CFT-EX を使用した流動性の評価を実施しました。測定装置を図 1 に示します。測定サンプルは、CNF 強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂、樹脂単体の 3 種類を用意しました。

2021.03.29

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