建設材料研究におけるラマン分光、赤外分光、走査型プローブ顕微鏡の活用

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はじめに

近年、高度経済成長期に大量に建設された社会基盤構造物の老朽化が社会問題となっている。コンクリート構造物の代表的な劣化として、鋼材腐食やアルカリシリカ反応(ASR)、化学的侵食などが挙げられる。限られた予算の中で膨大な量の構造物を維持管理していくためには、劣化のメカニズムに基づいた適切な対策を施すことが重要となるが、劣化のメカニズムには明らかになっていない点も多い。また、いずれの劣化も水が関与しており、コンクリート中の水分移動を抑制するために、コンクリート表面に撥水材や表面被覆材などを施すことも多いが、これらの効果や耐久性を実構造物において評価する手法が確立されていないことも課題として挙げられている。 本研究では、鋼材腐食および ASR の発生・進展メカニズムを解明するために、ラマン分光分析を行った。また、腐食生成物の結晶性を評価するにあたり、走査型プローブ顕微鏡(SPM)による観察も行っている。さらに、有機系表面被覆材の劣化に伴う化学変化を赤外分光分析により評価し、劣化に伴い蛍光物質が増加することを利用してラマン分光法による表面被覆材の劣化指標を提案した。

2018.07.04

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