
食品・飲料
食品用の器具や容器包装は,食品と直接接触し使用されることから,有害な重金属などの溶出により食品が汚染される危険性があります。特に,陶磁器製食器やガラス製食器は,有害な鉛,カドミウムを着色顔料や上薬に使用されることがあり,これら有害元素の溶出による健康被害が問題となります。この事を踏まえ,食品衛生法「食品,添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)」が,平成20年7月31日付けで改正されました。食器に関する主な改正点は,(1)容器の材質と容量,形状別に規格化されたこと,(2)ISOを参考に,カドミウム・鉛の溶出規格が強化されたことがあります。Table1に,材質別規格を示します。検査方法は,溶出試験で,重金属を最も溶出しやすい食酢を想定した4 %酢酸を用い,常温24時間溶出させます。この溶出液を原子吸光分析法または,ICP発光分析法で定量を行ないます。ICP-AES(ICP発光分析法)は,高感度,かつ同時多元素分析が行える特長があります。今回,島津マルチタイプICP発光分光分析装置ICPE-9000を用い,市販の食器の分析を行いましたのでご紹介します。
2009.04.04