ICPMS-2030を用いたCHO細胞の培地/培養上清中金属元素のモニタリング

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ユーザーベネフィット

- 培地や培養上清中の金属元素の経時変化を一斉にモニタリングできます。 - 培地や培養上清の分解処理がいらず希釈のみで測定でき、前処理は簡便です。

はじめに

抗体医薬品の原薬は、主にチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を培養することにより産生されます。培養細胞の代謝や産生抗体の品質は、培養液中の金属元素濃度変化に影響を受けることが近年報告されています。例えば、培養液中のCu濃度に応じてCHO細胞の乳酸代謝様式が変化することや、抗体の糖鎖構造が培地中のMn/Zn 比に応じて変化すること2)が知られています。そのため、抗体医薬品の品質を一定に保つ上では、培地/培養上清を測定して、複数の金属元素濃度の経時変化を一斉にモニタリングすることが重要と考えられます。アプリケーションニュースA6343), A6514)では原子吸光分光法を用いた培地/培養上清の測定例を示しました。一方、微量元素や多元素の一斉モニタリングにおいてはICP-MSが適すると考えられます。そこで、アプリケーションニュース 01-003725)では、ICP-MSの培地/培養上清分析への適用を検討するため、培地をICPMS-2030で測定し、添加回収率や再現性を評価した結果を報告しました。本アプリケーションニュースでは、CHO細胞の培地/培養上清を希釈して、ICPMS-2030で金属元素をモニタリングした例を紹介します。

2022.07.06